区民の声に応え、くらし、福祉、営業を守る区政への転換を~区議会第1回定例会・日本共産党区議団の代表質問から② 田中まさや区議会議員が、区政リポート3月26日号を発行しました。

中小企業安全・安心活動報告渋谷区

区議会第1回定例会・日本共産党区議団の代表質問から②

区民の声に応え、くらし、福祉、営業を守る区政への転換を

コロナ禍は、社会と政治の在り方が、これまでのままでよいのかを問いかけました。日本でも世界でも、経済効率最優先の競争社会から、いのちとくらし最優先への転換を求める声が上がっています。日本共産党渋谷区議団は、区議会第1回定例会の代表質問で、区政のあり方と来年度予算を、自治体本来の役割であるくらし、福祉、子育て最優先の区政へと転換するよう求めました。区長は、区民の声や党区議団の提案に背を向け、冷たく切り捨てました。

以下、五十嵐幹事長が行った質問要旨です。(区長答弁も要旨です)

⑴区長の基本姿勢について

新型コロナウイルス感染症は、世界中で市場中心主義をすすめ、公共サービスや社会保障を削減し、貧困と格差、自己責任を拡大してきた新自由主義の弊害を浮き彫りにしました。同時に公衆衛生や医療、福祉など公共サービスの重要性を明らかにしました。今、渋谷区に求められるのは、地方自治法に定めた自治体の第一義的役割である住民と滞在者の安全と福祉の向上を最優先にし、コロナ禍で苦しむ区民の暮らしと命を守るための対策を実施することです。

区長は昨日所信表明で、コロナ対策として、区民に対し「新しい生活様式を徹底していただくようお願い」し、「ワクチン接種の推進によって、感染流行を終息に導けるものと期待し、しっかりと準備に取り組む」などと述べましたが区民へのお願いとワクチン頼みで、区民が求めている「今日の暮らしや命を守るための直接支援策」はありませんでした。

コロナ緊急アンケートには、「渋谷区の感染対策の実施状況が全く伝わってこないのが不安です」「会社から解雇通知を受け失業しました。収入がなくなりこのままでは3月に住まいがなくなってしまいます」との切実な声が寄せられています。

 区長は、区民の厳しい生活実態や切実な声にどうこたえるのか、自助を強調するのではなく公的役割を果たすべきです。そして基金を活用し、コロナ禍に苦しむ区民の暮らしを救済し、中小事業者の営業が継続できるよう支援する区独自策を実施すべきです。

区長答弁 くらしに困っている方への公的役割は、今ある施策を十分に活用し、継続して支援していくこと。中小事業者への支援は、特別融資を延長するとともに飲食店の感染対策支援事業を実施。基金を活用しての支援は考えない。

⑵2021年度の渋谷区当初予算案について

①新年度予算には、区民の過半数が求めている感染防止のPCR検査の拡大も、医療機関・福祉施設などへの直接支援も低所得者や高齢者への救済もありません。それどころか17年連続となる国保料の値上げや、さらにわずかな予算で値上げの必要のない訪問入浴料金100円の値上げなど高齢者の負担増や、千駄ヶ谷敬老館の民間委託を提案しています。こうした高齢者の負担増は認められません。

高齢者への負担増と千駄ヶ谷敬老館の民間委託は中止すべきです。

区長答弁 高齢者の負担額は、事業の継続性や応益負担の観点から決定。敬老館の民間委託は、区民サービスの向上につながる。

②一方大企業には・渋谷駅周辺再開発予算に17億2600万円、補助18号線用地買収に2億7000万円、スタートアップ支援事業1億500万円、さらに東京都とともに、美竹仮庁舎跡地と公園を再開発する都市再生ステップアップ・プロジェクトや北谷公園のパークPFIなどで区民の土地を提供し多額の税金を投入しています。

またデジタル推進としてスマートシティ推進事業に1億2700万円、5G通信インフラ整備補助金3800万円など、情報通信事業者のための予算で大企業への利益提供です。さらに、税金の無駄遣いの河津保養所の運営費に1億2300万円、ハロウィンとカウントダウンのイベント警備費用等に9500万円を計上しています。

 こうした大企業優先の予算や不要不急の予算を削減し、税金の使い方をまずはコロナ感染防止対策と区民や中小業者への支援を優先するとともに、学校給食の無償化、75歳以上の住民税非課税世帯の医療費窓口負担の無料化など区民の暮らし・福祉・教育優先に切り替えるべきです。

区長答弁 令和3年度予算は、コロナ対策を最優先としたほか、区民のくらし、福祉、教育などの区政課題に対応している。指摘は当たらない。

③保健所体制の強化

全国の知事の6割が保健師などの人員不足を訴えるととともに、職員組合からも残業時間が100時間を超えているケースが示されるなど、保健所体制の増員は待ったなしです。当区でもこれまで東京都や他部署の職員も動員して対応してきましたが、今こそ保健所の体制を強化し今後に備えることが求められています。国も来年度保健所職員を増員する予算を計上しています。墨田区は来年度、新規採用の保健所職員を10人以上増やしたいとしています。

 渋谷区は、来年度予算では保健所職員1人増の予算ですが保健師など大幅増員すべきと考えます。

区長答弁 来年度に必要な体制については、既に保健師の増員を含め確保している。

 

区長に「全体の奉仕者」の自覚なし

五十嵐議員が、党区議団のアンケートに寄せられた切実な声を一つ一つ紹介し、区民のくらしや事業が維持できる支援こそ区政の役割だとの再質問に対して、長谷部区長は、「そういった区民の方がいらっしゃったら、ぜひ区の方につなげてください」と答弁しました。相談しても助からない人が大勢いるとの認識もなく、区政の役割は「区民福祉の増進」、公務員は「全体の奉仕者」との自覚もなく、区に相談した者は助けるとの考え方は、区長としての資質が問われます。

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