直ちに小中学校全クラスで35人学級の実現を ~区議会第1回定例会・田中まさや議員の一般質問より 田中まさや議員が、区政リポート4月23日号を発行しました

子ども・子育て・保育学校教育安全・安心活動報告渋谷区

区議会第1回定例会・田中まさや議員の一般質問より

直ちに小中学校全クラスで35人学級の実現を

コロナ禍で、子どもも大人も大きなストレスの中で生活しています。とりわけストレスコントロールが弱い子どもへの影響は深刻です。こんな時こそ、一人ひとりに寄り添う教育・保育環境の充実が求められます。

区議会第1回定例会3日目の本会議で、私が行った一般質問は、こうした思いを込めて行いました。今号は、小中学校全学年での35人学級の実現など教育環境の充実に対する国や区の責任を果たすよう求めた部分(要旨)をご紹介します。

 

  • 小中学校35人学級について

 政府は、小学校学級編成を2026年度までに35人に引き下げる義務教育標準法改定案を閣議決定しました。小学校全学年の学級規模の引き下げは40年ぶりです。長年の教育関係者や保護者の運動の成果であり、日本共産党も提案し続けてきました。

 コロナ禍の分散登校で20人以下の学級になったとき、一律指導でなく、子ども一人ひとりの個性を生かし、変化を感じながら向き合える豊かな授業を経験しました。教育研究者有志の「早急に30人、速やかに20人学級を求める署名」は22万人を超えました。菅首相は国会答弁で、中学校も含めた35人学級実現について「子どもの状況を把握し、一人ひとりにきめ細かな教育が可能になると思っている」と明言しました。

 子どもひとり一人に向き合え、みんなで深く考えあえる少人数学級は大いに評価すべきです。           

教育長答弁 Sosiety5.0時代の到来や多様化の進展等を踏まえ、一人一人の教育的ニーズの応じたきめ細かな指導を可能にする指導体制と、安全・安心な教育環境を整備するためのものと認識する。

[質問]

 しかし、今回の決定は、小学校は5年間の段階的実施で、中学校は含まれていません。また東京都も渋谷区も、独自の加配で2年生まで35人学級ですが、来年度は拡大しません。区内の保護者らは「早急に全学年を35人学級に」との署名活動を始めています。杉並区では、約70人の教員を採用して小学校の全クラスを35人以下にしています。渋谷区で新年度小中学校の全クラスを35人以下にするには、小学校9クラス増やせば実現できます。

    コロナでストレスを抱える子どもに寄りそえるよう、直ちに小中学校の全クラスを35人学級にするよう政府に求めるとともに、区としても早急に実施し、さらに30人学級をめざすべきです。           

区長答弁 国に対して求める考えはない。

教育長 次年度から5年間かけて行われる引下げに対応するため、準備を進める。

 

⑵ICTの活用について

   教育の目的は、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」としての「人格の完成」であり、国や自治体に求められているのは、子どもたちの豊かな成長・発達を保障するための教育条件の整備です。

   渋谷区は、学習履歴などのビッグデータの活用、デジタル教科書導入の実証実験などを来年度予算で計上しています。これは文科省が、財界や経済産業省の要求で、AIやビッグデータで子どもの学習記録を解析し、個別最適化された教材・プログラムを提供するギガスクール構想の先取りです。

   個別最適化された学びとは、対話的でなく子どもが一人でタブレットに向かいAIが提供する学習プログラムにとりくむ学習形態で学習の個別化です。これは教育の機会均等や子どもの発達権、学習権、集団的に学び合い成長する学校教育の否定につながります。

   また、学習履歴など多様な「教育データの蓄積・分析・利活用」は、営利目的の民間企業に歯止めなく個人情報を活用させる危険性や、個人情報の流出、プロファイリングなど重大な懸念があります。実際、政府は今年度の大学入試で、高校生の課外活動などを記録し「主体性」を評価する「JAPAN e ポートフォリオ(JeP)」の導入を進めていましたが、システムの不具合と高校生や教員から、「個人情報が民間企業の営利追求に利用される」との批判が広がり、JePの運営許可を取り消しました。

   ICTは、あくまで教育目的を達成するための手段です。その活用が自己目的化すれば、「孤立した学び」に陥る危険や活用できる子とできない子ども、教員の得意、不得意による教育格差を生む可能性があります。またビッグデータの活用は、個人情報の営利目的での活用や流出が危惧されます。さらにデジタル教科書の活用は、子どもの実態を踏まえた教員の自主的創造的な教育実践を阻害する危険があります。

    こうした懸念をどう考えているのですか。学習履歴などのビッグデータの活用はやめるべきです。ICTの活用は、現場の教師の自主性や専門性に任せるべきです。

   「いのち環境ネットワーク」代表の加藤やすこさんの実験では、生徒が無線接続している時の電力密度は0.49マイクロワット/平方㎝で、無線のない教室の490倍だったといいます。実際、教師や生徒に、電磁波過敏症による頭痛、思考力の低下、めまい、吐き気が発症しています。電磁波対策として、欧州評議会は有線LANを推奨しており、札幌市教育委員会は、PoE給電機を各教室に設置し、電磁波過敏症の子どもがいれば給電機をオフにするように通知しています。

    子どもたちを電磁波から守るためのガイドラインを示し、電磁波過敏症の子どもや教員を守るための対策を具体化すべきです。

教育長答弁 ICT教育は、子どもたちにとって、よりよく生きるための教育であり、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない構成に個別最適な学びや創造性を育む学びに寄与するもの。ビッグデータの活用についても、子どもたちの学習改善や教職員の指導改善を図るものであり、引き続き学校と連携しながら一層の活用をすすめる。電磁波については、現在のところ対策については考えていない。

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