自民・公明などで、都立広尾病院の独法化中止を求める請願を不採択に ~第3回区議会閉会・最終本会議で羽田新ルート中止の意見書決定 田中まさや議員が、区政リポート10月15日号を発行しました

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第3回区議会閉会・最終本会議で羽田新ルート中止の意見書決定

自民・公明などで、都立広尾病院の独法化中止を求める請願を不採択に

区議会第3回定例会が、10月13日閉会しました。今定例会には、区民の願いが込められた羽田空港新飛行ルートの中止を求める請願や都立広尾病院の独法化の中止を求める請願などが提出されており、日本共産党区議団はそれぞれ採択されよう力を尽くしました。

羽田新ルートについての請願は採択され、国に意見書を提出しましたが、都立広尾病院の独法化中止の請願は、日本共産党の他、立憲、れいわ、鈴木議員の10人が賛成しましたが、自民・公明・しぶや笑顔の反対多数で不採択になりました。

今号では、最終本会議で牛尾議員が行った、広尾病院の独法化中止の請願の賛成討論を紹介します。

小池都知事は、独立行政法人の定款の議案を今日の都議会本会議で議決しようとしています。

 私は、この夏のコロナ感染症の第5波で、多くの患者が在宅のまま死亡する事態を招いたにもかかわらず、公務員として都民の命を守るために必死で頑張っている職員の身分を奪い、都立・公社病院の独立行政法人化を進める東京都に対し、満身の怒りをもって抗議します。

  • コロナ禍で東京都が最優先にすべきなのは都民の命を守ることだから

 今年8月、東京では新型コロナ感染症による医療崩壊を経験しました。コロナ感染症患者の在宅死が112人に上り、自宅待機と入院調整中の感染者は最大で3万9592人に上りました。

 都立・公社病院は、都内の全病床数のわずか4%であるにもかかわらず、2000床のコロナ病床を提供しました。これは都内のコロナ病床の3割にのぼります。こうしたことができたのは、東京都が直接運営する都立とそれに近い公社病院だからこそです。独立行政法人化によってコロナ対応が後退することは明らかです。

 すでに独法化された東京都の健康長寿医療センターは550の病床のうち、コロナ病床として提供したのはわずか38床にすぎません。2004年に独法化された国立病院機構は3万9千の病床を保有していますが、提供できたコロナ病床は95病院、1854床で、都立・公社病院が確保した病床数よりも少なかったのです。東京都はこれまで、「独法化は医療ニーズの変化に柔軟で迅速な対応が可能」と言ってきましたが、現実は全く違うことが明らかになりました。

 コロナ対応だけではありません。都立病院は感染症以外にも、救急、小児、周産期、難病、障がい者、島しょ、災害など、不採算であっても命を守るために欠かせない行政医療を提供していますが、これらの医療を安定的に提供するためにも、都が直接責任を負う都立病院として運営すべきです。

  • 独立行政法人化で都の財政が削減され、患者負担増で誰もがかかれる医療が脅かされる

 東京都は都立病院に「効率的、効果的な運営を実現すること」を求めています。独立行政法人化は、採算優先の効率的な運営を迫り、東京都の財政負担を極限まで軽減することを目的とした仕組みです。しかし、これによってもたらされるのは、患者負担増であり、経済的に困難を抱える都民が医療にかかりにくくなることです。

 東京都健康長寿医療センターでは、差額ベッドが全病床の4分の1に拡大され、個室は10万円の入院保証金を払わなければ入れない仕組みになり、患者負担が増えました。しかも、独法化後の病院では海外富裕層のための医療ツーリズムに対応することまで想定していることは許されません。都立広尾病院の有料病床は422床中26床で、分娩費も平均41万円で医療保険の出産一時金で賄うことができます。独立行政法人化で患者負担を増やし、医療を受ける権利を狭めることは認められません。

  • 都民の圧倒的多数は都立病院のままを望んでいる

 広尾病院を都立のままで存続・充実させる会は、広尾病院についての住民アンケートを2011年と18年に実施しましたが、都立のままの運営を求める回答がいずれも9割を超え圧倒的多数です。住民からは、「東京医療センターに通院していますが、独法化されてから個室ばかり増やしています。数年前肺炎で入院した時、個室しか空いてなくて『いやなら他の病院へいけ』とまで言われました」「都立病院として、費用の心配なく安心して受診できる病院が必要」などの声が多数寄せられました。

 圧倒的多数の都民の声を無視して、独立行政法人にする理由は全くありません。

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