区民施設を「貸館」扱いし、行政の役割後退許されない ~地域交流センター、社会教育館などの目的外利用認める条例改正に反対 田中まさや議員が、区政リポート7月22日号を発行しました

人権安全・安心活動報告渋谷区

地域交流センター、社会教育館などの目的外利用認める条例改正に反対

区民施設を「貸館」扱いし、行政の役割後退許されない

長谷部区長は区議会第2回定例会に、地域交流センターや社会教育館など、区民の交流や社会教育のための施設の使用方法を変更し、利用率の向上の名で、施設の設置目的以外の団体にも広く活用させる条例を提案、自民、シブヤ笑顔、公明などの多数で強行しました。

日本共産党区議団は、利用率の向上は、区がそれぞれの施設の設置目的を達成する立場で努力して引き上げるべきであり、目的外利用を拡大することは設置目的の達成に逆行するとして反対しました。(6月17日号既報)

今号では、最終本会議で私、田中まさやが行った「渋谷区男女平等・ダイバーシティセンター条例の一部を改正する条例」に反対する討論をご紹介します。

アイリスを目的外利用させる条例改正に反対

本案は、新しい施設予約システムの導入にともない、男女平等・ダイバーシティセンター・アイリスの施設利用要件を見直すものです。改正内容のうち、第6条第1項第5号で、設置目的に沿った団体で、区内を拠点に活動している団体であれば、代表者が在住・在勤・在学の要件を満たさなくても使用できるようにすることは、区内でDVD被害者や困難を抱える女性の支援などに当たっている団体からの要望でもあり、この施設の設置目的を達成するために相応しい改正で評価します。またインターネット予約を可能にすることは、利用者の利便性の向上に資するもので賛成です。

しかし、本条例改正の重大な問題は、男女平等・ダイバーシティセンター・アイリスの設置目的以外の団体に施設利用を認めることで、本来の設置目的を達成するために活動する団体の利用に大きな制約が生じかねないことです。本定例会には、社会教育館やスポーツセンターでも、目的外団体に広く利用させる同様の改正が提案されています。

アイリスの設置目的は、「男女又は性的少数者に関わる問題に関する学習及び交流の機会並びに諸活動の場を区民等に広く提供することにより、男女平等と多様性を尊重する社会の推進に資する」ことであり、これまではこの目的に沿った団体しか利用することは認められていませんでした。それでもコロナ前の稼働率は約5割で、相談支援をしている団体から「相談日を増やしたいけど、会場の確保が困難」との訴えもあるほどでした。

今回の改正では、これまでの設置目的に沿った団体を「区分1」とし予約可能日を3カ月前の1日にしますが、新たに使用を認める設置目的以外の団体については、「代表が区内在住、5人以上で構成されその2分の1以上が区内在住」を「区分2」、「代表者が区内在住・在勤・在学2人以上で構成され、その2分の1以上が在住・在勤・在学」を「区分3」として、予約可能日をそれぞれ3ヵ月前の8日と15日からとして、目的団体のわずか1週間後か2週間後から予約可能にします。さらに目的外で区との関係が一切ない「2人以上で構成された団体」も「区分4」として使用を認め、目的団体の3週間後の22日から予約可能にします。これでは、条例の目的団体が、2カ月以上前に会場を予約しようとしても使えないということなりかねません。例えば、学習会や相談会を開く時も、講師や相談員が2カ月前にようやく決まっても、目的外団体も含めて予約がいっぱいで会場が確保できない、などの事態が起きかねません。

こうした懸念に対して質疑では、「目的団体に3カ月以上前に活動を決めてもらうようにする」との答弁でしたが、これでは目的団体の活動を保障するのではなく、逆に活動を制約することになりかねず、ますます条例の目的達成に逆行します。

性的マイノリティの人権尊重、DV被害や生活に困難を抱えた女性への相談・支援の強化などジェンダー平等への課題は多岐にわたり、これらにかかわる団体への支援や活動の場の確保がますます求められています。いま、区が力を入れるべきは、常勤の婦人相談支援員の配置をはじめこの施設の目的を達成するための団体の育成や支援でありそのための活動の場を確保することです。施設の稼働率を向上させるために、本来の目的のために利用する団体の活動を制約しかねないこの条例改正は認められません。

以上反対討論とします。

区政リポート2022.7.22docx