コロナ禍で、区民のいのち、くらし、営業を守る責務を放棄した決算に反対 ~区議会第3回定例会・2021年度一般会計決算の認定に対する反対討論 田中まさや議員が、区政リポート10月21日号を発行しました

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区議会第3回定例会・2021年度一般会計決算の認定に対する反対討論

コロナ禍で、区民のいのち、くらし、営業を守る責務を放棄した決算に反対

渋谷区議会第3回定例会で2021年度渋谷区一般会計決算と同国民健康保険、同介護保険、同後期高齢者医療の3事業会計決算について、日本共産党区議団、立憲民主党、れいわ渋谷は反対しましたが、自民党、シブヤを笑顔にする会、公明党などの賛成多数で認定されました。

日本共産党区議団は、2021年度決算に対して11日の最終本会議で、トマ議員が反対討論を行いました。

以下、討論要旨をご紹介します。

 

令和3年度は、新型コロナ感染症が猛威をふるい、8月には全国で、入院できず、自宅で死亡する人が1日250人にのぼるなど深刻な事態でした。

 日本共産党渋谷区議団が実施した「くらし・区政アンケート」には、「発熱しているのに検査が受けられない」「陽性になった家族が入院できない」など、不安の声が寄せられました。また、「コロナで失業したが、新しい職場が見つからない」「50年続けてきた飲食店だが廃業を考えている」など、56%の人が、生活が苦しいと回答しました。

 ところが、区独自のコロナ対策はほとんどなく、福祉、くらし、教育を切り捨て、国保料の値上げなど負担増を押し付けて基金を102億円も増やし、その一方で民間企業の儲けのためには区民の税金や財産を大盤振る舞いしました。区民のいのちやくらし、営業を守る自治体の役割を放棄した決算は認められません。

 

第1の反対理由 コロナ感染症から区民の生命とくらし、営業を守る区の責任を果たさなかったこと

令和3年度にコロナに感染した区民の総数は3万2963人に上りました。感染者は、教育現場では、幼稚園、小中学校で2,616人、障がい者施設では91人、介護施設で222人に及びました。

 教育現場、障がい者施設、介護施設でのPCR検査や抗原検査の頻回検査は、感染者を早期発見し、隔離して療養することで、子どもや障がい者、高齢者の生命を守るために欠かせないものです。ところが、教育現場での検査は、陽性者が出た場合やイベントの前に限られたものでした。障がい者施設や介護施設では、東京都の週1回の検査と感染者が出てから検査を行うやり方で、区独自の積極的な対策は何ら行われませんでした。

 また、渋谷区が独自に設置したPCR検査センターは、条件を付けたため21年度の利用者はわずか108人。感染を防止するために、いつでもだれでも無料でPCR検査ができる体制を整備しなかった区の責任は重大です。

 さらに、保健所の体制は、常勤職員以外に、委託の看護師17人、コールセンター10人、派遣会社からの事務職員というものでした。健康推進部地域保健課の残業時間は、コロナ禍前の2019年度は1,472時間に対して、1万6231時間と11倍になりました。区民の生命と健康を守る砦である保健所の運営を強化するために保健師をはじめ常勤職員を増員しなかったことは認められません。

区民からは、コロナ対策の抜本的な強化とともに困窮している世帯への区独自の給付金の支給や中小業者の固定費支援などを求める切実な声が寄せられました。他の自治体では、困窮者への給付や中小業者への固定費支援、学生への支援など、独自の支援を行っていました。

ところが区の独自のコロナ対策は、困難に直面している区民と中小業者への直接支援はほとんどなく、区民の生命やくらし、営業を守るべき区の責務を放棄するものと言わざるを得ません。

第2の理由 教育・福祉の切り捨て、区民の願いに逆行した区政を行ったこと

渋谷図書館は、渋谷区で最初につくられた図書館で107年の歴史を持ち、年間5万3709人、1日当たり213人も利用する地域住民にとってかけがえのない図書館でした。

この重要な図書館を長谷部区長は、空調施設の故障や施設の老朽化を理由に一方的に廃止を強行しました。屋上の防水工事を30年間も行わず、4年前の2017年度から雨漏りが発生していたにもかかわらず、抜本的な対策を行わず放置してきた区の責任は重大で、そのうえ図書館を廃止するというやり方は、言語道断と言わなければなりません。また5700人以上の区民の請願を踏みにじって図書館を廃止したことは、絶対に許されない暴挙です。区長は、広尾中学校に新たな図書館を併設する計画を示しましたが、完成までに6年もかかります。渋谷図書館は耐震強度も十分あり、早急にリニューアル工事を行い、1日も早く利用したいという区民の要求にこたえるべきです。

放課後クラブの有料プログラムは2021年度から全校で実施されていますが、プログラミングコースの料金は月額5,500円、理科コースと英会話コース4,400円と高額です。親の経済力によって子どもが差別されることになる有料プログラムは許されません。

2021年度、認可保育園の入園を希望しても、入園できなかった子どもは402人でした。区が行った保育園に関する調査では、保護者の大多数が望んでいるのは、0歳~5歳児まで一貫して預けられる認可保育園です。しかし、区は、保育園の需要は満たされたとして認可園の増設をしないことは認められません。増設計画を立てるべきです。

また、3歳児以上の保育士配置基準も面積基準も、75年前のままにしていることは、子どもの健全な成長という点から大きな問題であり、改善すべきです。

特別養護老人ホームの待機者は、年度末現在351人で、待機期間の最長は5年10ヶ月と深刻です。代々木2、3丁目の国有地や幡谷2丁目の都営住宅跡地などの活用や再整備するケアコミュニティ原宿の丘などで特養ホームを早急に増設すべきです。

また、コロナ禍で奮闘している保育職員や介護職員に対する区独自の処遇改善を実施すべきです。

高齢者のくらしを支える区独自の施策である区型介護サービスは、直近10年間の決算ベースで1億円も削減し、区民福祉を切り捨てています。21年度も8517万円の予算に対し、執行額は6641万円で1875万円の不用額をだしています。サービス別にみても時間延長、生活援助、高齢世帯援助では前年度より総額で289万円の減少となっています。時間延長の制限を外すなど必要な介護が利用できるよう改善すべきです。

2020年度から住宅管理事業に指定管理者制度が導入され、2021年度は2回の区営住宅空き家募集が行われました。抽選の倍率は、単身高齢者が46倍、一般世帯が27倍にのぼり、区営住宅は圧倒的に不足しています。増設計画をたて、推進すべきです。

 また、借り上げ高齢者住宅の10戸が空き家のままになっていることは認められません。ただちに募集すべきです。

第3の理由 大企業の儲けのために、区の職員や財産を提供し、住民福祉の増進という自治体の責務に反した区政を行ったこと

官民連携事業の一般社団法人渋谷未来デザインは、出資企業に新たな収益事業を提供するために設立しました。2021年度は、人件費など1472万円が執行され、2017年度以来5年間で1億7270万円が投入されました。

さらに未来デザインは、この年度、東急など民間企業が参加する渋谷5Gエンターテイメント事業、産官学民でデータの利活用をすすめるスマートシティ事業、京王電鉄と協力して進めているササハタハツなどを実施していますが、各事業の具体的な収支は明らかにされておらず、議会はチェックできません。この事業は自治体本来の役割を逸脱しており認められません。

グローバル拠点都市推進事業では、外国人起業家や海外のスタートアップ企業を呼び込むために総額5179万円が執行されました。コロナ禍で苦しむ区内事業者に対する支援よりも、スタートアップ企業の支援を優先することは認められません。

市街地再開発事業として、渋谷駅桜丘口地区に7億5600万円が投入されました。また、渋谷駅中心五街区整備事業では、渋谷駅街区北側自由通路に6億8千万円、渋谷駅南口北側自由通路に繰越明許費を含めて3億7260万円が執行されました。これらの事業費は、鉄道事業者や再開発事業者が負担すべきものであり、血税の投入は認められません。

渋谷駅周辺整備調整事業のステップアップ事業では、事業者によって整備される美竹公園を指定管理に移行することや、災害時の避難所となっている旧渋谷小学校の体育館を美竹公園の地下に多目的ホールとして整備して、開発業者が最大の利益を上げられるように便宜を図っていることは重大です。

新宮下公園に関連した支出は、公園維持管理費として三井不動産などへの指定管理料1億3760万円など、合計で1億8633万円が支出されました。旧渋谷川遊歩道の東京都下水道局の土地の賃借料は減免されたため、指定管理者は1504万円の利益を上げました。

 一方、公園の地下に整備された区が保有する公共駐車場の収支は、8887万円の赤字で区民の負担となりました。

公園の機能を後退させたうえ、区民に新たな負担を押し付けたことは認められません。

パークPFI手法で整備した北谷公園は指定管理とされ、恵比寿南一公園もこの手法で整備し指定管理を導入しましたが、公園を営利事業の場に変質させるもので認められません。

 

第4の理由は、トップダウンと不要不急の税金のムダ遣いの区政だから

長谷部区長の下でこの間、子どもたちが自然に親しめるかけがえのない施設であった、富山臨海学園、山中高原学園を廃止し、一昨年は新島青少年センター、そして2021年度は渋谷図書館を廃止しました。

どの施設も子ども、保護者、住民から存続を求める切実な声が上がっていましたが、この声を無視して廃止を強行したことは、区民無視の強権区政そのものであり認められません。

また、シブヤ・アロープロジェクトとして、1963万円を実行委員会に支給していますが、支出の内訳は不透明で、議会のチェックを免れていることは問題です。

この事業については、区民から「災害時に帰宅困難者が一目見ても、避難場所を示しているとはわからない」との声が寄せられており、帰宅困難者対策とは全く別の実行委員会のための事業となっています。この事業は、税金のムダ遣いでやめるべきです。

河津さくらの里しぶやには、運営費、施設維持管理費として予算額を上回る1億2398万円が執行され、予算を上回りました。コロナ禍で5カ月間の休業を余儀なくされたとはいえ、利用者は宿泊者が4180人で前年度をさらに下回り、宿泊者一人当たりの経費は、3万円近くになりました。コロナ禍以前でも利用者は1万人を上回ることはありませんでした。この保養施設には、取得など開設前に2億4千万円、開設後の8年間の運営と維持管理に14億5千万円が投入されてきました。毎年のように多額の費用をかけて運営、改修を続けることは認められません。

 

渋谷区国民健康保険事業会計

2021年度の国民健康保険料は17年連続で引き上げられ、一人当たりの保険料は、17万7502円で、1,481円の値上げとなりました。一方で、保険料軽減のための一般会計からの繰入金は、わずか670万円にすぎませんでした。

東京都の協会けんぽ保険料は引き下げとなったため、国保加入世帯との保険料の格差はますます広がり、40代の夫婦と子ども二人の世帯の保険料は、2倍以上に広がりました。医療保険制度間の保険料格差は、国の制度設計によるものであり、国の負担割合を抜本的に増やすよう求めるべきです。また、区として保険料軽減のための予算のうち、4億1500万円が不用額となりましたが、本来の目的である保険料負担の軽減に使うべきでした。

 区は、東京都の方針に従って保険料の徴収強化を進め、差し押さえ件数は90件で前年比1.4倍に、短期証は299世帯442人、資格証は14世帯14人に交付され、医療を受けることが制限されました。

 高い保険料を押し付け、延滞金や給付制限を課して厳しく取り立てる一方、一般会計からの繰り入れを保険料軽減に活用しなかった決算は認められません。

区政リポート2022.10.21docx