介護保険料の引き上げ中止、高齢者福祉の充実を ~区議会第2回定例会 区民が主人公のまちづくりを 田中まさや議員が、区政リポート8月4日号を発行しました⑴

安全・安心活動報告渋谷区

区議会第2回定例会 区民が主人公のまちづくりを

介護保険料の引き上げ中止、高齢者福祉の充実を

かつない猛暑が続いています。私は最近、住民のみなさんを訪問するときは必ず、熱中症対策を呼びかけていますが、高齢者の方はとくに気になります。日常的に高齢者のみなさんを見守る活動の重要性を痛感します。

第2回定例会の代表質問で私は、地域包括支援センターの体制強化や港区の「ふれあい相談員」制度を例にした高齢者の見守り活動の強化、介護職員の処遇改善などを区長に求めました。以下、質問と区長答弁の要旨です。

  • 高齢者の医療・介護の負担増の中止を

 昨年10月から、区内4706人の75歳以上の医療費窓口負担が2割に引き上げられました。高齢者の負担が増えれば、親を支える現役世代の家計を圧迫し、将来不安がひろがり、少子化に拍車をかけます。

 わが党区議団の昨年秋のアンケートでは、介護保険料が「重い」が64%を超えています。

 渋谷区の第9期介護保険事業計画で、介護保険料の引き上げはやめるべきです。

区長答弁 第9期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画における介護保険料については、計画期間内の被保険者数、介護サービス利用料、将来の給付費等の推計を適切に行ったうえで、被保険者の負担能力に応じた保険料の設定を検討していきます。

 

  • 地域包括支援センターについて

 渋谷区では、今年度から重層的支援事業として、高齢者とともに障がい者の相談体制を強化しています。しかし、一番身近な相談窓口である地域包括支援センターの体制の強化は行なわず、職員の研修だけで障がい者の相談受付まで担わせています。これでは、その場で相談も解決せず、これまでの高齢者への相談支援も困難になます。

 全ての地域包括支援センターに、障がい者福祉の専門職を常勤で配置すべきです。

 コロナ禍のもとで、高齢者の孤立や日常生活動作(ADL)の低下が懸念されており、介護・高齢者福祉サービスにつながっていない高齢者を訪問して、サービスにつなげる支援が求められています。港区では、専門職が介護・高齢者福祉サービスにつながっていない高齢者を訪問して必要なサービスにつなげているほか、文京区などでは社会福祉協議会が、一人暮らしの高齢者の訪問活動を実施してきました。

 地域包括支援センターに、一人ぐらしで、介護・高齢者福祉サービスを利用せず、見守りの対象でない高齢者を訪問支援する専門職を配置すべきです。

区長答弁 地域包括支援センターの体制強化について、まず、障がい者福祉の専門職の配置についてです。地域包括支援センターにおける障がい分野の相談については、既に高齢者の相談支援を担っている職員が経験を生かし、困り事などを把握し、専門相談に適切につないでいます。あくまで身近な相談の入り口として気軽に相談ができることを目的としているため、現時点では障がい者福祉の専門職を配置する考えはありません。

また、高齢者を訪問する専門職の配置については、福祉サービスを利用しているか否かにかかわらず、個別の心配ケースに対しては、地域包括支援センター職員をはじめ見守りサポート協力員や民生委員等が連携し、訪問による支援を行っています。

さらに各圏域を担当する地域福祉コーディネーターは、高齢者だけでなく地域のなかで支援を必要とする人の様々な相談に対応するためアウトリーチを行っており、これらと分けて新たに高齢者を訪問支援する専門職を設置する必要はなく、その考えはありません。

  • 介護職員の処遇改善について

 介護職員の平均賃金は、全産業平均に比べて月8万円も低く、慢性的な人材不足の最大の原因となっています。区立の特養老人ホームで働く子育て中の男性職員は、募集しても人が集まらない、採用しても長く持たない。毎週土日が夜勤で、しかも早出

 居残りが常態化している。1歳と3歳の子どもがいる同僚も夜勤が多く、子育てと両立できない。と訴えています。区立の特養でこうした事態を放置してよいのですか。人材不足の最大の要因である賃金の引き上げを国に求めるとともに、区として賃金の加算をすべきです。

 とりわけホームヘルパーの処遇は劣悪です。「絶滅危惧種」といわれるほど人手不足と高齢化が進んでいます。ホームヘルパーの7割を占める「登録型ヘルパー」の賃金は、「ヘルパー国家賠償訴訟」原告団の調査では、サービス提供時間は60分でも、介護報酬に含まれない移動や待機、キャンセルなどを労働時間に含めると100分働いており、最低賃金以下の低賃金です。

 区として、訪問介護ヘルパーの賃金実態調査を実施するとともに、区独自の賃金の上乗せを行うべきです。

区長答弁 このことについては国の介護報酬改定のなかで議論されており、令和3年度介護報酬改定によっても一定の改善が図られているため、区独自に賃金引き上げを実施する考えはありません。

また、訪問介護ヘルパーの賃金実態調査や区独自の賃金の上乗せを実施する考えもありません。

※港区「ふれあい相談員」制度

11人の専門職員が、介護・医療・高齢者福祉サービスを利用していない高齢者6300世帯を訪問して、95%の世帯と面会し、必要な介護・高齢者サービスにつなげています。

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