フィンランドで見た性教育

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ちょうど、テレビで性教育についてお話しする機会がありましたので、準備をかねて、以前、都議会で質問した議事録を読み直しました。

 

フィンランドで、見学させていただいた中学生の性教育の授業について文教委員会で詳しくお話ししていましたので、議事録の一部を紹介します。

 

(写真は、フィンランドの学校。性教育の授業の写真が見当たらず、読み書きのクラスの写真です)

 

議事録は、2018年9月18日の都議会文教委員会でのやり取りで、都議会ホームページからご覧になれます。

ちなみに、この日の委員会は足立区の中学校の性教育への政治介入を巡った大議論が行われました。日本共産党からは、池川都議と私が質疑しています。

 

池川都議は、政治と行政と教育現場との関わりについて、大事なことを確認したもので、本当に学びの多い質問です。

私は、世界の性教育の到達点について取り上げています。

 

 

・・・・以下は、議事録の一部です。(写真もどこかでアップできたらと思います)

実は、私はこの夏に自費でフィンランドに行ってまいりました。フィンランドは世界的にも性教育の進んでいる国で、中学校三年間の性教育の平均時間は、フィンランドは日本の二倍である約十八時間が確保されています。私は公立学校の十四歳、十五歳、日本に当たる中学二、三年生の保健で、まさに性教育の授業を見てまいりました。思春期の心と体の動き、子づくりがテーマで、具体的な避妊についても授業で習いました。

まず、この授業の概要を報告というか話をさせていただきますと、教科書やドキュメンタリーのテレビ番組などを使いながら、思春期の変化について生徒と先生で考えます。第二次性徴を迎えて、相手にさわりたい欲求が出てくること、それは、男性が女性に対してだったり、男性が男性に対してだったり、女性が男性に対してだったり、女性が女性に対してなど、いろんなあり方があることを先生は話をします。

 

そういう話をした上で、具体的な性交までの心づもりについても話します。メディアではいろんな宣伝があるけれども、身体的な安全を考えたら、十六歳までセックスは控えた方がいいこと、それと同時に、そもそも一生セックスしない人もいて、絶対にしなきゃいけないというものではないこと、アルコールを飲んでいるときは普通の状態ではないからセックスは控えること、避妊はお互いの責任であることも伝えます。大人の小説では、出会って二回目に性交するという話もあるけれども、みんながそうじゃないということも話します。

 

そして、教科書と、学校に常駐するスクールナースが用意してくれた、かばんに避妊具一式が入っているセットがあるんですけれども、そのセットのかばんを使って、コンドームやピルなど、どこで幾らくらいで手に入れられるのか、どういう特徴があってという話を、実物を見せながら説明をします。避妊に失敗したときには七十二時間以内なら薬局で売っている薬を飲めば大丈夫だということも伝えます。

 

コンドームのつけ方は、男性器の模型に実際に説明をしながらつけ方を教えます。性についての授業を子供たちは積み重ねているので、子供たちもどんどん質問します。コンドームは、はさみであけてもいいんですか、わざわざつけなくても早く出せばいいんじゃないですかという質問に、前回の授業で精子は幾つあるって話をしたかなと。射精の前から精子は出ているから、それでは避妊にならないんだと先生が返します。

 

女子生徒からは、私はピルを飲んでいますという発言が出て、先生はそれに答えて、ピルは思春期ににきびがたくさんでき過ぎたり、生理が重くてつらい症状を軽くしたり、旅行に生理が重なってほしくないときにも効果的なんだと説明を加えます。

 

クラスを見ていて、子供たちが性についての質問や自分の考えを恥ずかしがったり、嫌らしいものとして話していないのが印象的で、体の発達や性について科学的な学びを積み重ねていることや、子供の疑問に対して大人がごまかさずに正面から答えているからこそ、こういう授業ができるんだろうと感じました。

 

また、こういう内容は、外部の専門家の力もかりることはあるものの、基本的には学校の先生が子供の生活実態をつかんだ上でやるので、ここのテーマはじっくり学んで議論した方がいいという場合になると、授業のこまをふやして対応するということもやっていまして、学校教員の役割は非常に大きいということも感じました。

 

移民の多い地区で、ある学校で、子供の母語は二十六言語に上る中、イスラム教徒の生徒もいましたけれども、同じように性教育を受けていました。家庭では一切、性の話ができないけれども、性教育の授業を何度も受ける中でなれていったんだと先生は話していました。

 

ヨーロッパや中央アジアでは、移民の背景を持つ若者などが社会的な不利益を受け、貧しい教育しか受けられず、社会の中で性感染症などのハイリスクグループとなる中で、どの国でも一定水準のセクシュアリティー教育が受けられるようにと取り組みが進められています。日本でもグローバル化が進む中で、さまざまな宗教やバックグラウンドを持つ方がふえているからこそ、積極的な性教育が必要になっていると指摘をしておきます。

 

その上で、日本の性教育についてですが、やはり子供たちの実態や疑問から出発したものとなることが重要ですし、その内容は、ただ漠然とテーマをさらうというものではなく、具体的に子供にどういう力を身につけさせるのかということを重視した内容となることが求められていると思います。

 

例えば性感染症を扱う場合、どんな性感染症があるのか、性交で感染するという中身にとどまらず、実際に子供たちが性感染症にかからないようにするためには、例えば性交渉に慎重になることや、正しくコンドームを使えるようになることなどが不可欠になります。そうした具体的な獲得目標を持った取り組みにすることが大切だと思います。