まちづくり「丸投げ」の懸念
台東区議会は17日、千葉県旭市「おひさまテラス」を視察しました。ここは、同市がイオンタウンに指定管理した多世代交流施設。台東区は東京北部小包集中局跡地活用の優先交渉権者をイオンタウンに指定し、区民交流施設を併設する方針のため参考にしようという目的です。
「おひさまテラス」は、図書館、子どもの遊び・短時間預かり機能も備えていますが、キッチン・ダンス音楽・ものづくりなどのレンタルスペースが大半を占めています。利用料は手ごろですが、稼働率はそう高いとはいえません。
ただ、同じ敷地内に、高齢者デイサービスと特別養護老人ホームがあり、そことテラスが連携して、高齢者と子ども・子育て世代が交流できる工夫が随所に見られ、実績も上がっているようです。
問題は、旭市当局が視察に参加せず、イオンタウンを中核とする「一般社団法人みらいあさひ」に任せっ放しにしたことです。市が「公の施設」として指定管理者に運営させている施設の視察に、台東区の参加者は1人5000円の費用を払いました。
旭市はイオンタウンに対し、テラス賃借料の30年の債務負担行為設定、年間1億円近い指定管理料、農地を転用し整地や上下水道等インフラ整備の費用約5億円負担…など、莫大な市民の税金が投入されていることがわかっています。
旭市が官民連携といいながら、まちづくりを民間に丸投げし、市民の税金を私企業の利益に注ぎ込んでいるのではではないか、という疑問さえ感じました。
説明した施設の初代館長は、イオンタウンを退職して、地域の商店街に事務所を構え、地域活性化へさまざまな事業者のコーディネートや創業支援などに専心していました。「まちづくりは人と人をつなげることから」との言葉が印象に残りました。
民間の力を活用することは必要ですが、まちづくりは、あくまで行政が住民参加で政策を立案し、住民自治を基本にすすめていくべきです。小包集中局跡地活用で、台東区がその基本を見失い、万が一にも区民福祉よりイオンタウンの利益の事業にならないよう区議会はしっかりチェックしていく必要があります。