エネルギー地産地消へ 江戸川区を視察

日本共産党台東区議団は3日、江戸川区が踏み出した地域エネルギー会社への動きについて視察を行いました。区が関与することにより、民間資金の呼び水となる資金提供を行い、地産地消のエネルギー政策を通じ脱炭素と地域経済循環の確立をめざす画期的な取り組みです。条件は異なる台東区でも参考にすべきではないでしょうか。

江戸川区は気候変動による災害の危険が高い海抜ゼロメートル以下の地域が広く存在しています。「区の環境政策の基本は長く適応策が中心で、温室効果ガス削減・脱炭素という視点は相対的に遅れていました」(区の担当者)。

しかし、区は国や都のカーボンニュートラルの動きを受け、2023年2月、区長が「2050年カーボンマイナス」を表明。国の脱炭素先行地域の指定をめざしてきましたが、国は事業を推進する主体が明確になっていることが必要、として指定されませんでした。

区は江戸川区のエネルギーの現状を分析。①エネルギー自給率が低く年間977億円も区外にエネルギー代金を流出させている②戸建て住宅の比率が高く太陽光発電のポテンシャルがある③家庭部門のCО2排出量が大きく「住宅の再生」が脱炭素のカギ④燃料価格の高騰で電気料金が上がり続けている…などの課題を抽出しました。

そこで「新たなモデル」としたのがPPAというシステムです。地域エネルギー会社をつくり、そこがソーラーや蓄電などの太陽光発電設備を区民の住宅に設置・管理し、利用者はそこで発電された電力を安い固定価格で購入する、というもの。区民はゼロ円でソーラーシステムを設置でき電気代が安くなり、これまで区外に流出していた電気代金が地域内にとどまります。

地域エネルギー会社は資本金5000万円。区は500万円、地元企業等から4500万円の出資で設立され、補助金5.2億円(区と都で5・2億円)、地域金融機関から2・3億円の融資でスタートする計画です。現在、江戸川区は出資企業を募集中。反響はまずまずだそうです。

設置した住宅(2030年までに250件)からはキロワット当たり30円の電気料金を徴収。20年間の事業活動を通じ平均6%、利益剰余金1・5億円を上回る事業を想定しています。

試算では、1件当たり現在年間214、377円の電気料金が155、350円に軽減され、59、027円が地域経済に循環します。

台東区議団はその後、既に江戸川区でPPA事業を行っている市民エネルギー会社と懇談。この事業の重要性、課題などについて学び、意見交換しました。台東区は地理的にも街の成り立ちも異なりますが、大いに参考になる視察になりました。