ネットリスク 子どもが危ない! 区の学力調査でも

子ども・子育て・保育

長い時間、携帯電話やスマートフォンでSNSや動画を視聴する子どもは正答率が低い…令和7年度「台東区総合学力調査」の結果で、学力と生活に関わる意識・活動の実態が明らかになりました。区としてどう対応するか、軽視できない課題になってきました。

台東区は区立小中学校の児童・生徒の学力と学習・生活についての意識を調査し、改善に結びつけるため、4月に「台東区総合学力調査」を実施しました。その結果が9月30日に開かれた区議会区民文教委員会に報告されました。

その中で、スマホ等でのSNSや動画を視聴する時間が長くなるほど正答率が低くなる結果が顕著に表れました。

小学生では「1日4時間以上」の子どもの正答率は59・5%で、「持っていない」74・1%、「1日30分より少ない」73.8%に比べ大幅に低く、時間の長さと正答率は反比例しています。

中学生でも「1日4時間以上」の正答率は50・3%、「3~4時間」52・3%、「2~3時間」55・1%、「1~2時間」60・8%、「30分~1時間」63・4%、「1日30分より少ない」63・7%、「持っていない」65・1%となっています。

SNSが子どもの心身に与える負の影響は国際的な問題になっています。

最も深刻と言われる米国では、SNSビッグテックに対し、子どもの依存による心身の被害、自殺、言語・思考能力の低下などでの訴訟が増え「2千件を突破」したとの報道もあります(3日付「読売」)。

一昨年、マーシー医務総監が「1日3時間以上費やす青少年は不安や抑うつ症状のリスクが3倍になる」「青少年の約半数がソーシャルメディアにより、自分の体について気分が悪くなる」と勧告しています。

児童の性的搾取という点でも、米国最大の児童保護組織「全米行方不明・被搾取児童センター」は23年、児童の性的搾取が疑われる通報が3620万件、オンラインで児童を性行為に誘う通報が8万件、児童ポルノ画像・動画の通報は1億件を超えた、と警鐘を乱打しました。日本でも児童の画像をSNS等で広げる事件が問題になっています。

ギガスクール構想のもと1人1台端末(タブレット)が区立小中学校で実施されています。病児や障害児のコミュニケーション支援や学力向上のためのツールとして活用することは極めて重要です。しかし一方で、SNSや動画に触れ、依存してしまうような危険もあります。

学力との関係ではどうでしょう。今回の「台東区総合学力調査」は、学校の授業以外にタブレットやICT機器での勉強のための使用時間を調査。「1日3時間以上」という正答率が最も低く、正答率の高いのは小学生で「30分より少ない」、中学生で「30分~1時間」となっています。

「個別最適化」した学習指導をすすめる、との目的で導入された1人1台タブレットですが、学校や家庭でのルールづくり、リテラシー向上は喫緊の課題です。