総武線ワンマン運転化。まず先行トラブル解決を

安全・安心

JR東日本は9月24日、2027年春からの中央・総武線等のワンマン運転化を発表しました。今年3月から始まった南武線のワンマン運転化では、著しい遅延や安全対策への不安などで苦情が殺到しています。先行実施の検証を行わずワンマン運転化を拡大する一方のJR、指導責任のある国交省の姿勢が問われます。

10月27日、山添拓参議院議員が国会内で開いたJRワンマン運転問題での国交省ヒアリングには沿線住民や障害者ら影響を受ける利用者が参加しました。

南武線利用者は「車掌が行っていた停発車時のモニター確認、ドアの開閉、安全確認をすべて運転手が行うため、駅ごとに数秒ずつ遅れが重なり、10~20分の遅延が生じている」「駅と駅の間で停車している時など利用者はいらだっているが、アナウンスするのも運転手しかおらず、やり場のない怒りが車内に渦巻いている」

「遅延が運転手の焦りにつながり、このままでは重大事故につながりかねない」「先日の東急のような事故が起きたらどう対応するのか」…など、質問・意見が続きました。

視覚障害者は「白杖が、電車ドアだけでなくホームドアに挟まった際の恐怖を知ってほしい。ワンマン運転でのマニュアルはあるのか」「JRはワンマン化の前提にホームドア設置を義務付けているが、ホームドアができたからワンマン化OKとは絶対にしないでほしい」…と訴えました。

JR東日本横浜支社は8月8日、南武線の遅延トラブルについて、その原因がワンマン運転化にあることを認め「改良」を約束する声明を発しています。しかし、その後どんな検証を行い、どう「改良」するのかを明らかにしていません。

ヒアリングで国交省は、JR東日本の国交省の担当者は、声明については知っているが、どう検証しているのかは聞いていない、と発言しました。また冒頭で、中央・総武線のワンマン運転化実施方針を「プレスで初めて知った」と述べました。国民の命にかかわる鉄道事業を所管する国交省が、いかにJR東日本から軽んじられているかを象徴する発言です。

JRは労働力不足と効率的でサステナブル(持続可能)な輸送モードの確保をワンマン化推進の理由にしています。しかし、駅ホームの人員も減らしに減らしており、合理化による人件費削減、労働強化が根本的な動機になっていることは明らかです。

安全と人命を最優先し、利用者や住民の納得が得られないまま「ワンマン運転化ありき」と、中央・総武線のワンマン運転化を再来年春に押し切ることは許せません。