小包集中局、今からでも公共の視点重視を
清川2丁目にある台東区最大の区有地・旧東京北部小包集中局跡地の活用で、民間事業者からの提案募集が1月末から始まっています。募集要項と事前の事業者とのやりとりなどから見えてきた問題点は…。
最大の問題点は、跡地活用における区の政策的・公共的目的があまりに抽象的であることです。区は「北部地域の活性化とともに、台東区が活力ある都市としてさらなる発展を遂げていく、まちづくりの拠点として整備」と目的を掲げています。「まちづくりの拠点」「活性化」とは何でしょうか。極めて抽象的です。
一方、公共機能として要求するのは既存機能である、清掃車庫、防災備蓄倉庫、観光バス駐車場で、自転車保管所は既存建物の改修(リノベーション)の場合のみ整備、としています。区民の行政需要が多岐にわたり増大していること、防災や環境など未来に向けた課題が山積していることからすると、極めて限定的な要求です。
区が公共的部分の要求を増やすほど、事業者は企業利益を圧迫されることになりますから、この問題を突き詰めると「民設民営」方針そのものとの矛盾が出ます。
日本共産党台東区議団はこの手法そのものに批判的ですが、事業者公募という現段階まできた以上、この段階であっても可能な限り、「台東区基本構想」「長期総合計画」など、区の政策的な立場・姿勢を事業者に徹底すべきではないでしょうか。
例えば、活用する施設の徹底した省エネ・創エネ、地震で家が倒壊した北部地域の人たちの仮設住宅建設用地への転換…など、今後の事前協議等を通じ、区の政策への理解が深い事業者にこそインセンティブを与えるのも一つの方向です。
次の問題点は、既存建物を活用する事業者だけに自転車保管所を義務付けるのは、「解体・新築」か「リノベーション」か、どちらかの事業スキームの選択という前提において公平性を欠くことです。
どちらの事業スキームであっても、活用条件は当初から同じであるべきです。むしろ、地域循環型社会が持続可能な開発目標(SDGs)など国際的な流れになっており、しかも北部地域は区として「リノベーションまちづくり」を掲げている以上、その地域の最大の堅固な建築物を解体することこそ区の大方針に逆行するのではないでしょうか。解体に誘導する可能性は排除すべきです。
区の公共をまもる毅然とした姿勢も強く求められます。事業者は利益をあげるため様々な手法について模索し提案・質問してきています。
事前の提案事業者との質問(第1回)では「資金調達のために土地をリース会社に転貸することは可能か」という質問がありました。これに対し区は「今後の事前協議を踏まえ検討する予定」と回答しています。区民の土地上の定期借地権をリースし資金を調達する、など最初から認めるべきではありません。
いよいよ跡地活用計画選定委員会の区民委員募集が始まりました。区内最大・敷地面積1万㎡を超える大規模用地が区民に活かされるよう区民と議会でチェックしていくことが重要です。