長野・富山市議会を視察して

活動報告

台東区議会・議会運営委員会は21・22日、長野市議会の政治倫理条例、富山市議会の政務活動費改革のとりくみ等を視察しました。両市では議員の不祥事をきっかけに苦労して改革にとりくんでおり学ぶべきことはあります。同時に、議員が本来行うべき活動を抑制することにならないか、と心配な点を強く感じました。

長野市議会は2008年6月にある市議会議員が飲酒運転事故をおこしたことをきっかけに議員の政治倫理条例策定の機運が高まり、翌年6月に同条例が制定されました。

「議員の責務及び行為規範を定めることにより、民主政治の根幹をなす政治倫理の確立を期するとともに、議会の権威と名誉を守り、市民の厳粛な信託にこたえ、もって清潔で民主的な姿勢の発展に寄与する」ことを目的としています。

条例は、議員が行ってはならない以下「行動規範」を規定しています。

  • 品位を傷つけ市民の信頼を損なう行為
  • 市が行う契約行為に特定の者に有利不利となる働きかけ
  • 政治活動に関する寄附行為
  • 職員の職務執行を妨げ、またはその権限・地位の不正な行使への働きかけ

議員や有権者は、これら「行為規範」に反する疑いがある議員に対し、審査を請求できます。議員は議員定数の12分の1(議案提出権と同等)かつ2以上の会派の連署、有権者は総数の100分の1以上の連署が要件です。

審査請求があれば議長は市議会政治倫理審査会を設置して調査し、辞職・役職辞任・出席自粛・その他の「勧告」を決定します。

条例ができて以降、2023年、職員の電話や窓口対応について、承諾を得ずユーチューブで配信した事例、2024年、会派が実施した研修会に参加した市民に3000円の交通費を支給した事例の2つが審査会にかかり「勧告」がなされました。

契機になった飲酒運転や審査請求のあった2事例とも、議員としてあってはならない行為です。ただ、これらの行為は道路交通法や政治資金規正法、威力業務妨害など、現行法で裁けるものです。行き過ぎると議員が本来行うべき調査権等を自己抑制しかねません。

昨今、生活保護申請に同行する地方議員に対し、問責決議等を強行する議会が出ています。福祉事務所窓口での「水際作戦」など、憲法や法を逸脱する行政を現場でチェックするのは当然のことです。議員が調査権を自制するようになれば、逆に市民からの信頼を失うでしょう。

長野市議会は2017年、酒気帯び運転で辞職した市議を出しました。同議員は政治倫理条例の制定にかかわった一人(同じ会派の議員HPより)とのことです。地方議員の使命は、住民福祉第一の自治体をつくるため、住民とともに活動することです。倫理条例がそれを促すとは思えません。