災害時性暴力への対応検討を

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今日は、東日本大震災から10年の日。

被災地では懸命な復興への努力が続けられていますが、日本大震災の傷はあまりに深く、原発事故の収束は見えません。

被災者の暮らしとなりわいの再建のため、支援の強化が必要です。

私たちもそのために頑張ります。

 

 

災害時の性暴力への対応検討をー都議会での質問

災害の多い日本。

私も、災害対策について都議会で色々な議論をしてきましたが、

今日は、災害時の性暴力について取り上げた質問を紹介します。

 

(写真は、フラワーデモが行われた東京駅)

 

▼▼以下は、2020年10月5日に都議会総務委員会の議事録です▼▼

◯米倉委員 私からも、セーフシティ東京防災プラン進捗レポート二〇二〇について伺います。
今期のセーフシティ防災プランなんですが、計画期間は三カ年の計画となっていまして、今回は中間の二〇一九年度の取り組みをまとめているものとなっています。特徴に、女性視点の防災対策の推進を掲げています。都が今回のプランで女性視点を特徴としたことは、東京都の防災対策の考え方を進める上では大事な契機の一つだと思っています。
そこで、災害時、都は、どう女性や多様性に配慮した対応をしていくとしているのか、基本的な姿勢を教えてください。

 

◯古賀防災計画担当部長 地域防災計画震災編では、男女双方の視点に配慮した防災対策を進めるために、防災に関する政策方針決定過程及び防災の現場における女性の参画の拡大を掲げておりまして、こうした趣旨を踏まえ、都としても現在取り組みを進めているところでございます。

 

◯米倉委員 地域防災計画では、昨年の修正時に、震災編についてこの視点が初めて入ったと聞いています。今後、風水害編などもこの考えが位置づけられていくのだと思っています。
このプランの特徴なんですが、女性視点の防災対策の推進と特徴づけていて、実際、この間どういう取り組みの強化や新たな取り組みをしてきたのか伺います。

 

◯榎園防災対策担当部長 都では、女性の視点が防災分野においても発揮されるよう、女性防災人材育成を進めております。
防災知識の基礎を学ぶ防災ウーマンセミナーを平成二十九年度から実施してございます。
また、平成三十年度からはリーダー的人材を育成する防災コーディネーター研修も開始し、女性の防災人材の育成を進めてございます。

 

◯米倉委員 これまで、阪神・淡路大震災、また東日本大震災などの大きな災害を経験して、避難所設営、運営など、災害対応の各局面で意思決定の場に女性がほとんどいなかったと。そういう中で、避難所のプライバシー確保を初め、必要な対応がなかなかとられてこなかったという教訓から、女性視点が重要だということが指摘されてきました。
災害時の対応の際に、意思決定の場に女性の割合が高いことは重要です。リーダーやコーディネーターを育成されているということで、これは今後も位置づけて取り組んでいただきたいと要望します。
今回の防災プランで、せっかく女性視点は特徴だということで位置づけていらっしゃるんですが、進捗レポートを見ていてなんですが、この視点で特徴と書いているんですが、何がどう進んでいるのかわからないというのが残念だなと思っています。ぜひこの進捗を報告する際に、プランの特徴に基づいた総括などを掲載していただきたいと思っています。今後の報告について、こうした観点、要望したいと思いますが、どうですか。

 

◯古賀防災計画担当部長 セーフシティ東京防災プランは、防災対策の見える化や女性視点での防災対策の推進といった特徴を踏まえて作成しておりまして、毎年度、プランに掲げる事業の取り組み状況や住民等の防災意識の変化を明らかにするために、進捗レポートを公表しております。
プランの最終年度となる今年度の取り組みにつきましても、これまでと同様に、これらの特徴を踏まえ、進捗レポートを作成、公表する予定でございます。

 

◯米倉委員 せっかくいろいろ特徴を書いていらっしゃるんですが、取り組みがよくわからないんですよね、あちこちに書いてあって。ぜひまとめて示していただきたいなと要望します。
自治体の災害対応において女性視点を位置づけていくということは、先進的に取り組んでいらっしゃる自治体もありますが、多くはまだこれからだという状況だと思っています。都の取り組み報告などは、区市町村や関係機関にも参考になるものにぜひしていただきたいと思っています。改めて要望しておきます。
防災ウーマンセミナーなどを開催されてきたということで、女性視点の防災対策を推進すると都はしてきたんですが、避難所の運営などの災害時の対応は、この間女性の視点でどう改善していますか。

 

◯古賀防災計画担当部長 都は、災害時に区市町村が円滑な避難所運営が行えるよう、避難所管理運営の指針を策定しておりまして、プライバシーへの配慮や女性視点の活用などにつきましても、これまでの地震や風水害などの教訓を踏まえた改定を適宜行ってまいりました。
 また、避難所の運営等を担う女性防災人材の育成や、乳幼児液体ミルクの調達、提供等の取り組みを進めているところでございます。

 

◯米倉委員 やはり避難所で今いろいろやっていらっしゃるということなんですが、女性視点を災害対応で位置づけるということが大事なのは、具体的なプライバシー配慮とか、そういうことをどうするかということもあると思うんですが、私はもう一つ、災害時の暴力の対応をどうするかということが大きくあると思っています。
東日本大震災の後に、大学研究者やDV問題に取り組んできた専門性の高い団体の皆さんで、東日本大震災女性支援ネットワークという団体がつくられまして、国内で初めて災害時の女性や子供への暴力調査を報告しています。この報告書には、国内外でどういう調査がこの分野で行われてきたかについても触れています。やはり災害の後というものは、女性や子供に対する暴力がふえる傾向となることが国際的にも知られていて、海外ではそういうさまざまな調査があるということです。
一九八九年のサンフランシスコ大地震の後には、サンタクルーズ市が調査をしまして、そのまとめた報告には、レイプは三倍にふえたと。DVの保護申請も五〇パーセント増加したと報告がされ、この結論として、災害後、女性に対する暴力が増加することを予測しておくべきであり、防止活動が災害救援の中に組み込まれなくてはならないと書いています。この報告書は、全米、カナダの危機管理機関に送られて、高い評価を得たということです。

一方で日本はどうかといいますと、世界各地で災害後の女性への性暴力やDVということについての調査報告が行われてきたものの、日本にはなくて、阪神・淡路大震災のときには性暴力の被害が発生していたと問題提起する声はありましたが、被害届がないなどを理由にデマ扱いをされて、バッシングも起こったという状況があります。
そういう中で、東日本大震災を受けて、先ほど紹介をした東日本大震災女性支援ネットワークが、国内で初の災害時の暴力調査を行ったというのが到達点だと思います。被災地の暴力の実態をこの調査は明らかにして、今後、各地で予測される災害時の暴力防止に向けての取り組みに生かしていけるようにという内容になっています。私は、この中身は、首都直下地震など東京でも今後起こると想定されている大規模災害に生かされなければならないと思っています。
そこで、都としての考え方を伺いたいのですが、災害時には性暴力がふえるといわれている中で、その防止や対応のためにどういう対応を計画しているのか、体制や他機関との連携など、具体的に示していただきたいと思います。

 

◯古賀防災計画担当部長 女性の視点を生かした防災対策をまとめた「東京くらし防災」では、災害時の犯罪の危険を減らすため、単独での行動は避けることや、死角になる場所には一人では近づかないなどの対策を示しております。
また、避難所管理運営の指針では、災害時の避難所運営体制の整備に当たり、防犯班を設置し、避難所受付での身分確認や避難所内外の巡回等を行うとともに、警察との連携を通じた警備強化等の取り組みが示されております。

 

◯米倉委員 避難所対応での取り組みをされているということです。そして、「東京くらし防災」で、犯罪への対応についていろいろ示していらっしゃるということです。
「東京くらし防災」は、私も読みました。このピンクの冊子ですが、私、これを読んだときに、これは女性向けでつくられた冊子なんですけれど、性犯罪、性暴力のことをどうして書いていないのかなと、最初に読んだとき、思ったんです。
でも、質問するに当たってもう一度よく読み直したら、言葉はありました。ただ、そのぐらい、申しわけないんですが印象に残らなかったんです。
それは何でかなということで今回改めて読んだんですが、ここに、避難所での防犯ですとか、自宅で避難のときにもどういうことに気をつけた方がいいかということが、数ページにわたって紹介をされているんですが、避難所での防犯というページで、読みやすくトピックとして、貴重品を肌身離さず持ち歩く、他人の前でお金の話はしないということが打ち出されていて、体験の声として、避難所で盗難に遭いましたということなんかが紹介されています。
ほかにも、子供だけの環境はつくらないと。それは、やっぱり見知らぬ人からストレスのはけ口として、どなられたりたたかれたりする事例がありますよというふうに書いています。体験の声としても、娘が避難所で顔を殴られてしまったとか書いているんですね。
ところが、性犯罪だとか性暴力にかかわること、複数人で行動して身を守るですとか、死角になる場所にはできるだけ近づかないというふうなことは、タイトルをつけて書いてくださっているんですが、これは、性犯罪を意識して書いているんだなということはわかるんですが、体験者の声は、人目につかない場所には近寄りたくありませんでしただとか、夜道を一人で歩かないように気をつけていたというような経験しかなくて、それは私なんかからいわせても日常からやっていることで、なぜ複数行動が大事なのかとか、その意図がわからないんですよね、これを読んでいて。
性犯罪が起こり得るということも示していただかないと、これでは、複数行動しないとというふうにも、なかなか理解がそこまでいかないんじゃないかなというふうに思います。
実際、阪神・淡路大震災ですとか東日本大震災、熊本の大震災でも、避難所や仮設住宅などで、性犯罪、性暴力は、深刻な実態が調査や聞き取りで明らかになっています。
東日本大震災では、震災で夫を亡くした女性は、避難所のリーダーに、夫を亡くして大変だね、タオルや食べ物をあげるから夜どこどこに来てといわれてとりに行くと、あからさまに性行為を強要されただとか、二十代の女性は、仮設住宅にいる男性がだんだんおかしくなって、女の人をつかまえては暗い場所で裸にする、周りの人も、若いから仕方がないねと見て見ぬふりをして助けてくれませんでしたですとか、避難所のリーダーなどに暴力を受けた女性は、複数の男性に暴行を受け、騒いで殺されても、海に流され津波のせいにされる恐怖があり、その後、誰にもいえませんでしただとか、こういう実態が既に明らかになっています。
こういう調査、聞き取りで明らかになっていることの一つとしては、災害時のこういう暴力の特徴としては、対価型というものがあるんだと。助けてあげたから性行為を強要するとか、そういう特徴があるということも、もうわかっているといわれています。
やっぱりこういう大事な、周知の手段をつくってくださるということは大事なんですが、やはりこういう災害時の女性や子供への暴力の問題というのは、もっと知らせる努力をしていただきたいと思います。
あわせて、これは要望なんですが、この「東京くらし防災」を読んでいて、そうした性的な犯罪や暴力を受けた場合は、一人で抱え込まず、警察や専門の相談機関などに相談してみましょうと書いているんです。それはもう本当にそのとおりなんですが、相談先はないんですよね。ここに書いていないんです。やっぱりこれはぜひ書いていただきたいなと思っています。書いていただきたいということだとか、中身についても、もっと意図がわかるようにしていただきたいと。これは、「東京くらし防災」だけでなくて、ほかにもいろんな媒体で、災害時の対応について都として周知される機会があると思います。そういう機会を捉えて、より中身がわかる発信をしていただきたいと要望したいんですが、いかがですか。

 

◯古賀防災計画担当部長 先ほどのご答弁と重なりますけれども、女性の視点を生かした防災対策をまとめました「東京くらし防災」では、さまざまな注意点について対策を示させていただいているところでございます。
今いただいた要望等も踏まえまして、今後は、専門家の方々に対して、またご意見等をお伺いしながら、よりよいものに、都としても今後、取り組みについてどういうふうに検討していけばいいのかということも踏まえて、今後も検討を進めてまいりたいと思います。

 

◯米倉委員 ぜひよろしくお願いします。
大災害時なんですけれども、やはり生命維持や当面の生活の維持に必死で、こういう被害を受けても相談や告訴ができないと。そもそも相談機関の機能が喪失したり減退するということで、平常時のように相談をして支援を受けるということがやりにくくなるといわれています。
実際、阪神・淡路大震災のときには、仮設住宅で性暴力被害を受けた女性が、警察に訴えなかったのかとほかの人に聞かれたときに、そこでしか生きていけないときに誰にそれを語れというのかと答えたという話があります。
安心して相談できる場があることが、広く、これは災害が起きる前に知らされていなければならないと思いますし、また、相談して、加害者と離れた地域で安心して暮らすことができるよう、住宅の提供や経済的な支援の制度なども必要だと思います。これは、新たな検討も恐らく必要になってくる話だと思っています。こういうことは自治体レベルでなければやはり対応が難しいと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
災害時の暴力への対応については、やはり位置づけはまだ弱くて、これから議論していくという段階だと思っています。
私、先ほどの質問で他機関との連携も伺ったんですが、そこは具体的にはお答えなかったと思います。つまり、例えば性暴力の問題、東京都として大地震が起きたりしたときにも対応するとなったときに、福祉保健局ですとか生活文化局との、事前にどういう対応をするのかということなんか、本当は必要だと思うんです。そういうことは恐らく今ないのかなと答弁を聞いていて思いました。ぜひこうした連携を求めたいと思います。
災害時には、最も支援を必要とする方々、最も弱い立場にある方々に、支援が行き届きにくくなります。
災害などの救援活動において満たされるべき国際的な最低基準を定めているスフィア基準というものがありますが、ここでは、さまざまな不平等や差別がある社会の仕組みを意識しないで支援が行われるならば、意図せずして特定の被災者がさらに被害を受けることにもなりかねないとして、ジェンダーや多様性への配慮は、スフィア基準の中で、どんな人道支援活動にも必要な分野横断的な課題として位置づけています。
その観点で幾つか伺いたいのですが、災害対応の各場面でどう女性や性的マイノリティー、その他多様なニーズの視点を把握するんでしょうか。

 

◯古賀防災計画担当部長 都は、災害対策基本法に基づく常設の東京都防災会議の委員に、防災における女性や要配慮者の知見を有する学識経験者や自主防災組織の構成員の方にご就任いただいておりまして、これまでも「東京くらし防災」や女性防災人材の育成カリキュラムの策定など、さまざまな機会でご助言、ご協力をいただいております。
また、避難所管理運営の指針では、災害時の避難所における相談窓口への女性相談員配置や、性的マイノリティーの方が相談できる窓口の明確化、声を上げにくい人の意見も酌み取りやすいよう意見箱を設置する等の取り組みが示されております。

 

◯米倉委員 災害時に必要な支援を把握するというときなんですが、男女別、年齢別で情報を把握するということですとか、支援を把握する際に、支援チームの男女バランスなどをとることは必要だと思いますが、都は位置づけているんでしょうか。

 

◯古賀防災計画担当部長 避難所管理運営の指針では、避難所運営のメンバーや役割分担を決める際には、多様な視点が運営に反映されるよう、男性女性双方、さまざまな年齢や立場の方で構成することが示されております。

 

◯米倉委員 男女双方、さまざまな年齢や立場で構成することを指針で示しているということは大事だと思います。この被災住民の方をバランスよく代表して協議に参加できるように示すということは大事なことなんですが、そこにとどまらず、スフィア基準でも示していますが、参加することが社会的困難な集団があれば、参加の障壁を理解し、それを取り除くというふうに示しています。ここは、実際現場でとても大事になることだと思うので、そこまでの取り組みを求めたいと思います。
あわせてですが、やはり大規模災害が起こる前に、女性や性的マイノリティー、その他の多様なニーズを災害対策に反映していくための継続的な検討の場が必要でないかと考えています。いかがですか。

 

◯古賀防災計画担当部長 都は、災害対策基本法に基づく常設の東京都防災会議を設置しておりまして、委員には、防災における女性や要配慮者の知見を有する学識経験者や自主防災組織の構成員の方にご就任をいただき、多様な視点を取り入れております。
このような会議体を通じて、引き続き、都の災害対策について検討を進めてまいります。

 

◯米倉委員 東京都防災会議は、年に一、二回開催されているということです。女性の割合は、お名前で見る範囲なんですが、約一三・六九%でして、国のデータと比べると、都道府県の平均より東京都は低い状況だと指摘されています。ここも努力していただきたいと思いますが、この会議は、局長など充て職も多いので、努力も限られるところがあるかなと思っています。
だからこそ、分野横断的な、こうしたかなり急いで対策を求められている課題については、部会を設置するなどして検討する必要があると思っています。会議の開催状況を聞いたところだと、やはり継続的な検討というふうにはならない場だと思いますので、ぜひその他で部会などを設置して、検討していただきたいと思います。
こうしたことは、ほかの自治体でも先進的な取り組みはやっぱりありまして、尼崎市では、国の防災基本計画の修正を受けて、二〇一一年ですが、その中で、防災の現場に男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の必要性が示されたということを受けて、市の防災対策にもその視点を反映させようということで、防災会議に女性部会を設けて、議論や調査をして提言を出しています。ここでは、脆弱な立場にある乳幼児を持つ女性の実態と災害への意識喚起が指摘をされて、事前調査が必要だと提言がありました。それを受けて市は調査をして、災害時の備品の品目を見直すということなどもやっています。こういう検討をぜひ都としてもやっていただきたいと要望します。