「終活」支援のシステム要求。区は「検討」
日本共産党台東区議団の伊藤のぶ子区議の3日の一般質問で、高齢者が尊厳を持って人生をまっとうできる台東区を、と「終活登録制度」の創設、亡くなった後の残置物処分等の大家の負担軽減…2つの提案を行いました。終活支援については区が検討の姿勢を見せました。
伊藤区議は、終活について本人の希望を聞き取り、その意思が実現されるようなシステムが必要、と横須賀市の「エンディングプラン・サポート事業」を紹介しながら、区としても「終活登録制度」を行ってはどうか、と区長の考えを質問しました。
横須賀市の制度は、身寄りのない、または親族がいても疎遠になっている高齢者が、葬儀や納骨など自分の意思を市に聴き取ってもらい、定期的に電話や訪問で援助するシステム。登録は無料です。同様の制度が近県に広がっています。
伊藤区議の求めに対し理事者は「高齢期を安心して過ごすためにはできるだけ早く終活に取り組むことは大事」とし、「他自治体のとりくみを参考に、関係部署と連携して検討していく」と答えました。
アパート大家がひとり暮らしの高齢者に賃貸住宅を提供しない一番の要因になっているのが、入居者が亡くなった後の残置物やクリーニングにかかる費用負担の大きさです。伊藤区議は大家の負担を軽減する対策を区長に求めました。
これに対し理事者は、対策の一つとして、国の「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を活用した事務の委任や、民間の保険などがあるが、十分に利用されていない。大家の負担軽減へ、不動産関係団体などに対して「モデル契約条項」等の周知に努めていく、と答えました。
この契約は打開策の一つですが、いきつくところは誰が残置物処理の費用負担を負うか、ということです。住宅困難な高齢者は経済的に大変な人、資産がない人が多いため、モデル契約に付随して、家賃や保証料が引き上がったのでは解決になりません。
住宅支援協議会活動や「モデル契約」を受任する居住支援法人への補助金などを拡充する独自対策が必要ではないでしょうか。
「残置物の処理等に関するモデル契約条項」…高齢者の死亡後に部屋の賃貸借契約の解除、残置物の処理等を円滑に処理することができるよう国交省・法務省が2021年に策定した契約方式。(写真=パンフレット表紙)