東京23区、区民葬に補助金へ

台東区

東京23区特別区長会は1日、2026年度から区民葬儀(区民葬)での助成制度をスタートさせることを明らかにしました。区民葬取扱業者のうち、東京博善株式会社が2025年度末で取り扱いをやめることを公表したことに伴うものです。

区民葬とは、葬儀費用の負担軽減のため、全東京葬祭業連合会に加盟する区民葬儀取扱指定店が行う葬儀です。葬儀にかかる費用のうち、祭壇・霊柩車運送・火葬・遺骨収納容器等の料金が協定価格で利用できます。

台東区では16%が区民葬で行われていますが、これは人の最後の尊厳に関わる火葬・葬儀が経済的理由でできないことがあってはならない、と葬祭業組合はじめ関係者の努力で支えられてきたものです。

ところが2022年、町屋や四ツ木斎場などで火葬場を営む東京博善㈱が葬祭事業を行う燦HDと業務提携し同事業に本格的に乗り出しました。東京23区の火葬場9施設中6施設を経営する同社は独占的地位を利用して火葬料など葬儀費用を大幅に値上げ。並行して区民葬からの撤退を23区区長会に何度も表明してきていました。

全国の火葬場の97%は市区町村などの運営ですが、23区では東京博善㈱が独占しています。公共的事業で利益追求を許している歪みが今回表面化しました。

都は公営火葬場整備を

 区内で葬祭業を営む鳥居充さんの話

低廉な価格で行える区民葬は火葬場、葬祭業、霊柩車業者の善意で支えられており、これまで行政から補助や助成金が支給されてきませんでした。今回、東京博善が取り扱わないことはその善意から抜けるということです。23区の火葬事業は大きなダメージを受けます。助成は必要だと思いますが、逆に東京博善の値上げの根拠になりかねません。

根本的には、火葬事業を民営に依存している東京都が姿勢を転換し、公営火葬場を設けるしかありません。台東区は事実上土葬できない条例になっています。火葬は公共的事業であり、都に対し公営火葬場をつくるよう働きかけるべきです。