2022年度予算要求書(全文)

台東区

2021年12月22日  台東区長  服 部 征 夫  様

2022年度台東区予算要求書

日本共産党台東地区委員会

日本共産党台東区議団

委員長・区議団長  秋 間    洋

        区 議    伊  藤 延  子

        区 議    鈴  木      昇

        区 議  山 口 銀次郎 

はじめに

岸田首相は臨時国会冒頭、首相として国会に改憲を呼びかける、憲法99条違反の姿勢を明らかにしました。成立した補正予算は当初予算を合わせた軍事費総額が初めて6兆円を突破。防衛省によると、国内総生産(GDP)比も約1.09%になるとされ、歴代内閣が目安としてきた1%を超えることになります。歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力の保有を公然と表明し、海外での戦争に何の制約もなくのりだす日本にしていこうとしています。

国交省のデータ書き換え、森友問題での赤木さんの国賠訴訟の「認諾」など異常な隠蔽体質、新型コロナ対策の下での公的病院削減の強行、格差と貧困を広げる政治、選択的夫婦別姓に背を向ける姿勢、原発と石炭火力発電に依存した時代遅れのエネルギー政策…などなど、岸田政権は、安倍・菅政治を踏襲しさらに危険で強権的な政治に突き進んでいます。

台東区政はそんな国の政治から区民のくらし・福祉を守り抜く重要な役割を担っています。2022年度は長期総合計画の修正に向けた作業が始まります。消費税の増税、区内中小企業・地域経済の苦境、公共料金や物価の上昇など、区民生活が困難を極める中で、住民福祉を第一の使命とする台東区が、コロナを乗り越え希望ある指針を区民に指し示せるかどうかがかかっています。また、ジェンダー平等、脱炭素、デジタル化などの課題を、区民が主人公の立場ですすめる重要な年になります。以下、予算に対する要望を提出します。

 

1 コロナから区民を守る対策について

1.区民が区内の感染状況を理解し、一人ひとりが冷静な判断と適切な行動ができるよう、最大限の情報公開を行うこと。民間であっても、区民福祉にかかわる事業所の感染と対応については情報を公開すること。

2.保健師を増員し、感染を追跡・調査する保健所の体制を抜本的に強化すること。

3.コロナ感染者または感染の可能性がある人と接する福祉事務所、清掃事務所、戸籍住民サービス課、また窓口業務に携わる職員については、特殊勤務手当を拡充・増額すること。

4.オミクロン株など感染力が強い変異株の感染拡大に対しては、「濃厚接触者」を国の狭いカテゴリーにとどめず、対象を広くし積極的なPCR検査を行うこと。

5.希望する区民に対して、いつでも無料でPCR検査ができるようにすること。

6.自宅療養者はつくらないこと。感染者を保護・療養する施設を区として確保すること。子どもなど家族が同じ施設で療養できる体制を整えること。

7.発熱外来への財政支援を行うこと。

8.永寿総合病院への財政的支援を行うこと。

9.3回目のワクチン接種についても、供給見通し等を随時知らせ、区民が安心できるようにすること。

10.地域の小規模診療所のワクチン接種に対し、財政的な支援を拡大すること。

11.国民健康保険の傷病手当については、被用者だけでなく自営業者やフリーランスも拡大すること。コロナ感染収束までは継続すること。コロナが原因による国保料の減免については前年比3割減収ではなく2019年度比にするなど、被保険者の生活実態を配慮して行うこと。

12.新型コロナ対応の区の制度融資については、上限を拡大し、期間を延長すること。3~5年の大幅な返済猶予を負担なくできるよう支援すること。

13.インバウンド型の観光・商工策を見直し、マイクロツーリズムの視点での振興策に転換すること。とりわけ区民が台東区の魅力を再発見できるような事業を展開し、地域経済を活性化すること。

14.コロナの感染不安から学校にいけない持病のある児童・生徒への学習・生活支援を行うこと。オンライン授業を本格的にとりいれ、オンライン授業への参加も出席扱いにすること。

15.保育園、こどもクラブで感染者が出て休園を余儀なくされた場合、仕事を休めない保護者には、感染症対策を講じたうえでの保育の場を提供すること。

 

2 区民のいのちと健康をまもる対策をすすめる

1.国民健康保険について

・国に対し、①誰もが安心して医療が受けられるよう国庫負担を引き上げること、②都道府県化のもとでも一般財源の繰り入れを認めること、③短期保険証・資格証明書発行の義務規定の削除を求めること、などを申し入れること。

・機械的な短期保険証・資格証明書の発行はやめること。

・悪質な事例以外は、資産の強制的取り立ては行わないこと、生計費の差し押さえは行わないこと。

・国民健康保険料の減免、傷病手当については、コロナ禍で対応した措置を継続すること。医療費、保険料を払うと生活保護基準になる区民には、保険料と窓口一部負担金の減免を行うこと。

・国にも支援を求め協会けんぽ並みに保険料負担を減らすこと。

・子どもの均等割りの減額・廃止を18歳未満とすること。

2.後期高齢者医療制度について、2022、23年保険料値上げはしないこと

・国に対し、廃止された「軽減特例」制度を復活拡充するよう求めること。後期高齢者医療費の窓口2割負担を行わぬよう強く求めること。

・都に対し保険料軽減のための独自支援をはじめ、広域連合の経費などの財政支援を実施するよう求めること。

・都に対し75歳以上の医療費の無料化を実現するよう働きかけること。

3.介護保険について

・国に対し、当面、国庫負担を25%から30%に増やすよう要請すること。

・要介護1・2の保険給付はずしに反対すること。

・特別養護老人ホームの入所を「要介護3以上」に限定しないこと。必要に応じて入所対応すること。

・介護サービス利用料の上限引き上げは行わないこと。施設、ショートスティなどの宿泊費にならないようにすること。介護サービス利用料は1割に戻すこと。

・保険料軽減のため、都にも独自の財政支援を行うよう要求すること。また、保険料・利用料の減免制度を拡充し、都に対し支援を求めること。

4.介護従事者の労働条件の向上を図るため、介護サービス人材確保事業を拡充し、活用しやすくすること。区内に住んで区民の介護に従事する人には家賃助成を行うこと。

5.認知症の早期発見・早期診断・早期予防事業の普及と実践の検証を行い、今後拡充の方向に生かすこと。認知症高齢者の通い、泊まり、訪問を保障する地域密着型の事業を、小規模多機能型の介護・看護事業所を中核に展開していくこと。

6.特別養護老人ホームを整備し待機者をなくすこと。

7.特養の大規模改修は、現場の職員の声を聞き、働きやすく、利用者が快適に過ごせるようにすること。

8.区内特養入所判定にあたり、住所地特例の方を差別しないこと。

9.高齢難聴対策をすすめるため、聴力検査を健康診査の必須項目に加えること。難聴を障害ととらえず、高齢で難聴に至る医学的知見の普及につとめること。70デシベル以下の軽中度難聴者への補聴器給付事業を復活すること。ヒヤリングループ(磁気ループなど)を普及および使用すること。

10.通院支援、買い物難民の対策をとること。空き店舗を利用した街角元気体操、フレイル予防等を行うこと。

11.在宅介護中、入院入所中の方に対し、紙おむつは不足がないように補助すること。利用者が種類を選択できるようにすること。

12.地域包括支援センターが相談活動中心に、文字通り地域の高齢福祉・見守りの中核的機能を果たすことが出来るように人員体制を強化すること。

13.総合事業については、利用者に必要な介護サービス・生活支援がしっかり保障される事業として改善すること。区の緩和型サービスの押付けはしないこと。安易にボランティアや民間事業者任せにしないこと。

14.元気な高齢者が集える場所を確保し、運営補助を図ること。近隣同士が支えあう活動を支援すること。区民施設を無料で開放すること。

15.国による区立台東病院の再編・統合・病床削減を受け入れないようにすること。国に対し、方針を撤回するよう強く求めること。

16.区立台東病院と永寿総合病院の政策医療を更に充実すること。老人保健施設や特養ホームとの連携を強め、高齢者の「入院難民」、「介護難民」が出ないよう最善を尽くすこと。在宅療養支援室の相談機能を強化すること。中核病院にふさわしく乳幼児医療を拡充し、特にNICUの設置を急ぐこと。

17.無料低額診療の実践を検証し、薬代の補助など低所得者の命と健康を守る無料定額診療を区として支援すること。

18.心の健康問題を、区民の健康の基本に据えること。区報や区のホームページなどを通じて、精神疾患や精神障害の知識と理解を広げ、誤解や偏見をなくし、早期発見・治療につなげること。台東病院や永寿総合病院に、精神障害者の合併症に対応するベッドを確保すること。精神障害者が地域でくらし続けられるよう支援すること。精神支援センターの拡充、または新たなセンターの整備により、相談体制を強化し、ケアプランなどを万全に出来るようにすること。

19.障害者の相談支援は、あくまで区の障害福祉課が中核的な役割を果たすこと。障害福祉サービス、地域生活支援ともに本人の実態に沿った給付として充実させること。65歳以上の障害者が介護保険優先になっても、サービスを低下させないこと。

20.幼児療育・発達支援は、松が谷福祉会館を中核に据え、教育保育機関をはじめ地域できめ細かに進めること。児童発達支援サービスの拡充をおこなうこと。放課後デイサービス運営の家賃など支援をすること。

21.旧上野忍岡高校跡地に建築する障害者施設は利用者・障害福祉関係者の声を十分反映した設計にすること。

22.障害児も重度心身障害訪問支援等の対象にすること。

23.生活保護の申請・受給、生活指導に適切に対応できるよう福祉事務所のケースワーカーを増員し、憲法25条が定める生存権を保障する立場に立つこと。国が財政に責任を持つよう強く求めること。稼働年齢層の就労支援については、当事者の立場にたって相談を進めること。

24.生活保護の申請用紙を保護課窓口に置くこと。

25.生活保護水準の切り下げはやめるよう強く国に提言すること。住宅扶助を千代田・中央区と同水準に引き上げること。保護受給者の無料入浴券は、枚数を増やすこと。

26.生活保護世帯、低所得世帯に対するエアコン購入助成制度を創設すること

27.高齢者、障害者、低所得者が住宅に困らないように、住宅の整備、家賃補助などを行なうこと。シルバーピアや低家賃の介護サービス付き住宅の増設・誘導を行なうこと。シルバーピアの借上げ契約更新時には、オーナーのくらしが成り立つ借り上げ料に配慮すること。

28.身体障害者グループホーム整備をさらにすすめること。短期入所施設を抜本的に拡充すること。

29.区民健康診断は、隣接区のかかり付け医でも受けられるようにすること。

30.各種がん検診は、年1回無料で受診できるようにすること。胃がん検診は40歳以上毎年受けられるようにすること。

31.敬老祝い金・品制度を復活すること。

32.高齢者無料入浴券を復活すること。現在の高齢者入浴券の枚数を増やすこと。

33.保健所の常勤保健師を増員すること。検査センターの機能を充実すること。

34.国や都の平均より高い本区の自殺率の事態打開に本格的にメスを入れ、対策を講じること。自殺未遂者の再発を予防するケアを拡充すること。

35.老人福祉センターを日曜・祝日も開館すること

36.引きこもり対策は若年層から切れ目なく行うこと。8050問題の解決のため、施策を講じること。

 

3 災害に強いまちづくりを「区民が主人公」ですすめる

1.区長は、防災の責任者であることを十分に認識し、区民参加での防災施策を推進すること。

2.「台東区地域防災計画」は、あらゆる段階で区民の声が反映できるよう、随時見直すこと。とくに障害者やジェンダーの視点を十分反映させること。防災会議を定例化し、構成員に区民代表を増員し、女性委員の比率を高めること。路上生活者の避難など震災時の対応も明確にすること。また、国や都、公益企業に対し、必要な要望事項をまとめ、積極的に働きかけ、「計画」を実効あるものにしていくこと。

3.災害時に地域の土木建設事業者と連携した行動がとれる体制を築くこと。

4.ゲリラ豪雨等、昨今の異常気象をふまえ、被害想定は都の想定をそのまま引き写すのではなく、台東区が蓄積している知見・データをフルに活かし策定すること。鉄道や高速道路などの高架橋、隅田川・神田川の堤防、大型商業施設、地下街など、関係機関に必要な支援を要請し、耐震・水防の状況を掌握し、独自の被害想定を行うこと。

5.荒川氾濫への対策について

・国と都に対し、実効ある広域避難計画を早急に示すよう働きかけること。

・「首都圏における大規模水害広域検討会」の方針待ちにせず、浸水想定、広域・縁故避難の重要性を徹底して周知すること。

・氾濫72時間・48時間・24時間などタイムラインを示した区民の避難計画を示すこと。

・広域・縁故避難できない区民、台風・豪雨の中取り残される区民を想定し、浸水地域でも垂直避難できる緊急避難場所を、荒川氾濫のケースについては別につくること。

・高齢者、障害者、妊婦、要介護者など、避難行動要支援者への個別支援計画を徹底すること。福祉避難所は具体的な準備をすすめること。

・住所不定者の避難については、生命を最優先した避難先を確保すること。差別を生まない対応を貫くこと。

6.災害に強いライフラインの改修整備を、国や都、公営企業に強く働きかけること。避難施設には災害用特設公衆電話を常時配備すること。公共施設、子ども・教育施設に発災時でもつながりやすい公衆電話を設置整備すること。

7.耐震補強工事を促進するため、助成額を引き上げるなど制度を拡充し、区民が積極的に活用しやすいようにすること。家具転倒防止器具・火災報知器取り付け助成、住宅修繕融資制度を更に使いやすく充実すること。

8.感震ブレーカーの支給は木造密集地域に限定せず他地域にも広げること。

9.木造密集地域に対しスタンドパイプや簡易水道消火器具を早期に設置すること。自主防災組織活動助成を大幅に増額し、地域の実情に応じてD級可搬ポンプ、スタンドパイプ等を購入できるようにすること。

10.マンション居住者が区人口の8割という実態をふまえ、マンション管理組合の災害備蓄品購入へ助成を行なうこと。防災資器材の整備についてはさらに拡充すること。

11.原発の再稼働をやめると共に、原発を速やかに廃止するよう政府に求めること。

12.放射能から区民を守るために、空間放射線量の測定は、現在の箇所・回数を減らさず継続して行うこと。地表面及び土壌の検査を加えること。給食食材の検査回数を増やし、内部被曝の検査を行なうこと。

13.小中学校で放射能の正しい科学的知識を教えること。安全神話を植え付けるような文科省の副読本の使用はやめること。

14.災害時行動要支援者などに貸与する防災ラジオは、区民ならだれでも購入できるようにすること。

15.中高層建物で音が遮られ聞こえにくい地域を精査し、防災無線スピーカーの設置場所の変更や設置個所を増やすこと。

16.浸水深表記を電柱や区有施設などに設置すること。

 

4 住民のくらしを守り、地域経済と文化の振興を図ること

1.区民生活と中小企業の営業を脅かす消費税は廃止、緊急に5%に減税するよう国に強く働きかけること。コロナ禍で経営の苦しい中小企業に対し、20年度21年度納税免除を国に働きかけること。また、インボイスの廃止を国に求めること。

2.区民税の徴収については、当事者への周知を丁寧におこなうこと。悪質な事例を除き、資産の差し押さえをしないこと。

3.公共調達の事業の質と業務にかかわる労働者の適正な賃金保障のため、公契約条例を制定すること。議会での陳情趣旨採択をふまえ検討会を設置し、具体化をすること。

4.橋場の都人権プラザ跡地を購入し皮革履物産業振興の拠点施設として活用すること。

5.産業振興事業団中小企業振興センターは、個別企業のきめ細かな相談に応じられるよう、より一層経験豊富な人材を確保するなど現在よりさらに体制を強化すること。

6.台東区ブランドが輝くものづくりの技術の継承と発展に関わる既存の事業で成果を上げた事業については、目標にふさわしく予算を確保し、通年事業化すること。連携できる事業については、柔軟に対応すること。

7.若いモノづくり・クリエーターが住みながら営業できる環境を広げること。空き家を改修した住居を兼ねた工房、アトリエショップ等には新たな支援を行なうこと。

8.プレミア付共通商品券を発行する時は、近隣型商店街・店舗を中心に使えるものとし、地域と商店街をまき込んでの制度を磨き上げ、特に子育てや高齢福祉施策と相乗効果を上げる事業として実施すること。

9.区の融資制度は、個別企業を支援する中小企業振興センターの機能強化の中で拡充すること。東京信用保証協会を通さない区独自の新たな中小企業融資を創設すること。

10.防災・環境・福祉全ての分野で、区が実施する施策が区内中小企業に優先発注されるよう、目標値を決めて取り組むこと。

11.建設業を台東区の産業政策として位置付けること。

12.住宅リフォーム支援事業を抜本的に拡充すること。とりわけ高齢者住宅への修繕工事を支援すること。区内中小建設業者に発注するときはプレミアを付けた事業展開をすること。

13.近隣型商店街の街路灯のLED化を急ぐこととともに電気代助成を増やすこと。

14.伝法院通り商栄会について、浅草まちづくりの中に位置付け、区は商栄会側と直接対話をすること。

15.文化的価値の高い建造物については、文化財としての位置づけを明確にすること。その価値の存続のためにあらゆる力を尽くすこと。

16.文化財の保護については、建造物も含め文化財保護審議会に諮り、その魅力・価値を内外に広く発信すること。また審議会の意見を尊重して保護に当たること。

17.区として区内の文化財保護を目的とした組織を、国内外の賛同者の力に依拠してつくり、存続等のための財政的な支援を行える制度・システムを創出すること。

 

5 子どもを中心においた子育て、教育をすすめる

1.保育園待機児解消のため、区有施設や区有地を活用し、認可保育園を増設すること。国や都、郵政・NTTなど公益大企業の用地、建物を提供してもらうよう働きかけること。

2.保育の質の後退を食い止めるため、企業経営の認可保育所や地域型保育事業への区による指導検査を強化すること。

3.区立幼稚園は休園・廃園はせず少人数でも受け入れをすること。区立幼稚園とこども園の短時間保育は、希望者全員が入れるようにすること。

4.区立幼稚園で、お弁当提供ではなく学校給食提供をすぐに行うこと。給食費無料にすること。預かり保育実施に向け職員体制強化を行うこと。

5.こどもクラブは小学校6年生まで対象を拡大した趣旨をふまえ、全区的に待機児をなくす対策を強化すること。浅草橋地域に子どもクラブの早期増設すること。

6.放課後子ども教室は、全小学校に一律に押し付けることなく、実情に合わせ、保護者を含む学校関係者・地域の声をよく聞きながらすすめること。また、保育の質を検証すると共に、こどもクラブとの「一体的」な運営にこだわらないこと。

7.少人数学級の優位性を認め、他自治体の状況を静観せずに、先進的に実施に向け踏み出すこと。

8.ICT教育は教職員任せにするのではなく、教育委員会としてバックアップすること。

9.児童・生徒の一人一台端末が子どもの精神と身体の健康に与えるマイナスの影響について検証しながら活用をすすめること。特にIT機器を長時間使用することにより生じるドライアイ、目が重い、こめかみが痛い、吐き気がするなどの心身への悪い影響を抑えるための活用のガイドラインを作ること。

10.全国いっせい学力テストには参加しないこと。事実上の学校別ランク付けにつながる「授業改善推進プラン」は慎重に取り扱うこと。学校行事などでの日の丸掲揚・君が代斉唱の強制はやめること。教科書採択には、学校現場の意見を重視すること。教育大綱の改定にあたっては、区民の声が反映出来るようにすること。教育委員の公選制をめざすこと。

11.児童の登下校をメールで知らせるシステムは、子どもクラブ・児童館をはじめ、公園などにも利用を拡大すること。

12.安定的な学校運営を阻害し、地域コミュニティとの関係を希薄化させる中学校選択制は廃止し、小学校への導入は行わないこと。

13.今年度末の校則点検・見直しで子供の意見を反映されるようにすること。小中学校で導入している、標準服・推奨服についてはあり方も含め、子どもたちの声で意見を聞き見直しを行うこと。

14.子ども医療費は18歳まで無料にすること。

15.子どもの貧困の実態をよくつかみ、孤立する子育て世帯とSOSの声を上げられぬ子どもをなくすこと。

16.就学援助の利用開始は今後も年度途中の申し込みを継続的に行うこと。

17.生活扶助の切り下げが、就学援助受給者の縮小につながらないよう引き続き対応すること。準要保護児童・生徒の入学準備金を拡充すること。眼鏡購入費を就学援助の対象にすること。

18.柏葉中学校の難聴学級が果たす役割、位置付けを明確にし、区域外からの校内通級を認めること。近隣区からの相談にも真摯に応じ、都に財政や人員などの支援を行わせること。

19.年々増える要保護児童への支援のため、日本堤子ども家庭支援センターへの専門職を更に増員すること。

20.子ども子育て新制度にもとづく家庭的保育事業の認可基準や特定保育施設などの確認基準は、現行認可保育所の水準を維持・向上する内容に改善すること。見直しにあたっては、あくまで子どもの成長と安全の視点で行なうこと。

21.いっとき保育を寿子ども家庭支援センターと台東子ども家庭支援センターでも始めること。

22.保育士の労働条件・処遇を改善し、養成・確保を図ること。保育従事職員宿舎借り上げ支援事業に加えて、直接家賃補助を行なうこと。

23.特別支援教育支援員を増員すること。処遇を抜本的に改善すること。

24.特別支援教室の巡回指導教員について、都の配置基準緩和に反対し、対象児童が増えた際には年度途中でも増やすこと。

25.特別支援学級設置校を小学校で北部・中部に1校、中学校は南部に1校整備すること。

26.重度障害児でも全員就学の理念をつらぬき、通常の学校教育を受けられるようあらゆる対策を講じること。医療的ケアが必要な子どもが親の付き添いがなくても学校生活が送れるよう看護師の付き添いなど対策を拡充すること。

27.道徳教育の基本は、教科学習や生活指導にこそある。児童・生徒の自主的な気づきや学びを大切にし、強制的・画一的なものにならぬようにすること。現場の教師集団の知恵と工夫が発揮されるよう指導すること。

28.奨学金制度は、対象校を大学や専門学校まで拡大すること。給付対象者を拡大し給付金額を増額すること。

29.小中学校の給食費は値上げせず、無償化すること。

30.保育園・子ども園の給食の副食費を無償化すること。

31.全区的に子どもの栄養調査を行い、生活習慣病を早いうちに防止する対策を講じること。要検診の児童に対して、経年的な対策をおこなうこと。

32.区立幼稚園の新たな認定こども園化は行わないこと。

33.区内在住外国人の学齢期の子どもが義務教育を受けることができるように努めること。また日本語力を高めるため講師派遣時間を増やすこと。日本語通級を設置すること。

34.労働者の権利をわかりやすく学べるような冊子を作成し、中学校の卒業時に配布すること。

35.学校の授業や模擬投票だけでなく、子どもの声が区政に届く様な機会を作り、主権者教育を発展させること。

36.包括的性教育を就学前から小中学校教育に至るまで体系的にすすめること。

 

6 安心して住み続けられるまちづくりをすすめる

1.まちづくりを進めるにあたっては、何よりも住民参加を大切にし、まちづくり協議会をはじめ地域を担う住民の意識を高める勉強会・研修会などを支援すること。特に、旧坂本小や旧北部小包集中局跡地の活用にあたっては、区と区民との協働指針にふさわしい取り組みですすめること。また、事業運営をPPP方式ありきではなく、行政需要を踏まえ区がしっかり支える手法で整備すること。

2.区有施設の再編統廃合は、効率化の視点だけで行わないこと。施設の改修・改編・在り方については小学校区・中学校区単位で、きめ細やかに住民自治を大切にして進めること。

3.民泊条例は、区民・来街者の安全・安心及び地域コミュニティの保全の立場から検証すること。

4.中高層建築物の紛争予防条例及び規則・要綱について住民を守る立場で改正すること。説明会開催の厳格化、説明会に応じない事業者の企業名公表、環境アセスメントにおける風害予測シミュレーションの義務化など、建築主の責任を重くすること。解体工事にあたっても堅固な建物の場合は近隣説明会を義務付けること。

5.マンション建設にあたってはファミリータイプの割合を増やす等、ワンルームマンションの規制を強めること。学校・教育施設・保育園周辺での中高層マンション建設について、より一層の規制を行なうこと。商店街に面するマンションは一階を商業スペースにすること。

6.家賃補助制度など若年層・世帯形成層の住宅施策を復活・創設すること。空き家を改修・活用した住宅提供を行うこと。

7.鶯谷駅北口にスロープとエレベーターを設置するようJR東日本に強く働きかけること。

8.浅草橋駅東口のバリアフリー化については、設置準備の進むまちづくり協議会の意見を大切にして進めること。駅ビル改修やバリアフリー化等、設備・工事技術の向上や地権者の理解が得られ、可能になれば速やかに着手すること。

9.地下鉄入谷駅北千住方面ホームの上野側出口にエレベーター設置すること

10.公衆浴場については、これ以上減らないよう支援すること。公衆浴場の少ない地域に公的入浴施設を整備すること。入浴券は隣接区でも使えるようにすること。

11.谷中ぎんざ商店街、かっぱ橋本通り・道具街に対応する公衆トイレを整備すること。

12.谷中地域の通学路、生活道路の安全を確保するため、六阿弥陀通り・朝倉彫塑館通りは、車や自転車の速度が速くならないよう視覚的工夫をすること。

13.谷中防災コミュニティセンターの蛍坂から入る通路のインターフォンを区民が利用しやすいような箇所に移設すること。常時館内エレベーターが使えるよう工夫すること。

14.谷中地区計画に高さ制限の範囲を広げること。

15.循環バスめぐりんについて

・高齢者・障害者に無料パスをつくること。

・他のめぐりんの路線と近いバス停にも無料乗り継ぎ場所を拡大すること

・近隣区との乗り継ぎを可能とすること。

・終バスの時間延長を行なうこと。

・車椅子の利用者が乗りやすい配慮をおこなうこと。

・3ヶ月、6カ月定期券を発行すること。

・路線の見直しに当たっては、住民の声を十分に聴くこと。

16.生活の足である、都バス東42乙系統の朝・夕の増便と終バス時間の延長をするよう都にはたらきかけること。

17.高齢者や障害者、来街者も気軽に利用できる街角ベンチをめぐりんのバス停や歩道に設置すること。

18.観光バス、工事用車両の路上駐車対策を徹底すること。騒音・排気ガス・交通事故等に対し、生活環境を守る立場から、関係機関と協力し対策を徹底すること。

19.大江戸線蔵前駅や田原町駅などの放置自転車問題を早急に解決すること。

20.違法駐輪対策として自転車駐輪場利用料金を値下げし使いやすくすること。

21.電線地中化を計画的に進めること。

22.飼い主のいない猫対策について、町会・地域への周知を図ること。ボランティアの組織との連携を強めること。ボランティアの負担を軽減するため、餌やりや医療費の支援、獣医への協力などの対策を講じること。多頭飼育対策を強めること。

 

7 地球温暖化を防ぎ、持続可能な地域をめざすこと

1.改定する環境基本計画の策定に当たっては区民の声が十分反映されるようにすること。とりわけ若者の声を取り入れるため、策定委員に10代・20代の委員を抜てきすること。

2.カーボンニュートラルをすすめる区の計画・方針について討議・提言する「気候市民会議」を立ち上げること。

3.区内の再生エネルギーの開発を徹底して追求すること。区が事業体をつくって区民・商店街から屋根等を借り上げ、太陽光パネルを設置する「屋根貸しソーラー」「ゼロ円ソーラー」など、具体策に踏み込むこと。

4.区が卒FIT電力を区が電力会社料金より高く買い取り、地域内の自給電源として公共施設や街灯等に活用すること。

5.省エネ機器や創エネ機器の導入、二重窓の省エネ工事等に対する補助を、現在の予算頭打ち、区民の手上げ待ちではなく、抜本的に拡充、誘導すること。低所得世帯に対し、省エネ機器により削減される電気料を返済原資とした無利子融資を行い、導入を積極的に支援すること。

6.中小事業者の省エネ、創エネ策の促進に対しては、環境・省エネと同時に経営についても造詣の深い専門家を派遣し、経営改善と併せすすめること。

7.台東区の温室効果ガス排出を、2050年までに実質ゼロにする目標を早急に設定すること。

8.緑被率・緑視率を高める角度、ゴミの減量をすすめる角度から、区長部局、教育委員会などすべての部署での施策を見直し、今後の方針に反映させること。

9.プラスチックを使わない、余分な食料を購入しない、環境にいい商品を選ぶなど、区民の消費生活で、地球温暖化や海洋プラスチックごみなどの問題への気づきの機会が増えるよう、区の全部署での方針を具体化すること。

10.区有施設内自販機ではペットボトル飲料は扱わない、区の行う行事等ではペットボトルやレジ袋は使用しないなど、使い捨てプラスチックの削減を日常的に区民にアピールすること。

11.区内商店に個人水筒補給場所の設置協力を行い、設置に箇所には補助を創設すること。

12.「花の心プロジェクト」を二酸化炭素の吸収・排出の角度から見直し、今後の施策に反映すること。

13.小中学校での環境学習をさらに拡充すること。こども環境委員会への参加がもっとしやすくなるように、子どもだけでなくOBや区内の支援ボランティアの力を活用すること。

14.燃やすごみから雑紙等を仕分けしやすくできるよう、意識付け、分別ツールを整備すること。

15.事業系一般廃棄物の生ごみ、紙、廃プラの分別、指導を徹底すること。

16.新築建築物への緑・植物の整備をさらにすすめるため、「みどりの条例」を強化すること。

 

8 「区民が主人公」の区政運営、平和都市台東の実現に向けて

1.憲法をくらしに活かし、基礎的自治体として「住民及び滞在者の安全・健康・福祉の増進を図る」(地方自治法第2条)を貫く区政運営に徹すること。予算編成にあたっては、区民の暮らし・福祉を最優先にし、基金を積極的・有効に活用すること。

2.「戦争する国」づくりにつながる特定秘密保護法、安保法制(戦争法)、テロ等準備罪(共謀罪)の廃止を国に求めること。

3.台東区平和都市宣言の精神に則り、核兵器禁止条約に調印・批准するよう国に求めること。

4.台東区国民保護計画は、区民の人権・財産を侵害しないことを基本に据えること。集団的自衛権の行使を含む有事について、啓発や訓練に区民を動員しないこと。

5.長期総合計画の修正に当たっては、すべての施策の基本に「ジェンダーの視点」と「脱炭素」を据え直すこと。この面での進捗管理を行う第三者的な機関を設置し、調査・検証を行うこと。

6.社会保障・税番号制度において、個人番号カードの取得・提示は任意であることを周知すること。国や自治体間の情報照会・提供、マイナポータルの実施は慎重に行い、一定期間を経て速やかな検証を行うこと。国による健康保険証や金融機関、運転免許証、戸籍等への拡大に反対すること。区独自の情報紐づけ拡大は行わないこと。区職員への個人番号カードの取得を強制しないこと。

7.個人情報保護条例は、本人以外からの情報収集、目的外利用の原則禁止を貫くこと。例外規定については、そのことを本人に通知しなければならない「本人通知義務」を設けること。要配慮個人情報、顔認証は収集・利用を原則禁止にすること。

8.個人情報の訂正を求める権利、目的外利用の中止を請求する権利、不当に収集・利用・提供された個人情報の消去を求める権利を定めること。

9.地方自治体の情報システムを集約して標準化するガバメントクラウドは利用しないこと。

  1. 区内の公園や施設を、ヘイトスピーチを行う団体には使用させないこと。
  2. 区が使用している申請書等の性別欄については、性自認に基づいて自由に記載できるよう空欄とすること。

12.同性パートナーシップ制度の導入をすること。LGBTSOGIの当事者と家族・関係者の相談窓口と体制を整備すること。

13.ファミリーシップ制度を導入すること。

14.学びのキャンパスアクションプランで東京都助産師会に委託している「いのちの授業」をさらに多くの中学校で行い小学校でも実施できるよう環境を整えること。包括的な性教育について、学校・教職員と保護者と一緒に取り組みを行い主体的にすすめること。

15.自衛隊員募集のための個人情報提供は、絶対に行わないこと。

16.介護や教育・保育・図書館・窓口業務など本来自治体がやるべき仕事を安易に指定管理や委託にすることを改め区民福祉の向上を第一とすること。

17.区の会計年度任用職員の処遇を改善すること。雇用年数の上限回数を4回とする方針を見直し、任用回数に上限を設けないこと。経験加算を導入し、貴重な職員が継続して働く意志をもてるようにすること。労働組合と誠実に協議し、不利益のない制度設計を行なうこと。

18.職員研修は、「住民に奉仕する」ことを基本に行なうこと。「お客様」の呼称を使う一方で、「自立」「コスト意識」を押し付ける歪んだ職員研修の姿勢を改めること。また、職員のチームワークを破壊し、自治体職員の役割である住民奉仕の立場に逆行する人事考課制度、成績主義はやめること。

19.区民施設を更に利用しやすくするため、使用料を値下げすること。また、会議室などの備品は、利用する人の立場に立って充実し、区民のコミュニティ活動が発展できるようにすること。

20.区が委託する事業や指定管理者のもとで働く労働者の雇用実態を把握し、待遇改善を図るよう働きかけること。

21.区職員の施策立案などの研修を充実させ、本来区が行うべき施策立案を安易にコンサルタントに委託しないこと。

22.区長・区議会議員及び所属政党・政治団体は、台東区が発注する業者や関係者、補助金を出している団体からの政治献金を受け取らないことを明確にし、清潔な区政運営を目指すこと。

23.区長・議長の交際費は、必要最低限に削減すること。

24.終戦記念日の前後に開催する平和パネル展を充実させること。広島・長崎への中学生の派遣事業は両市に毎年派遣すること。東京大空襲資料の常設展示場を開設すること。

25.「ふるさと納税」は他自治体との寄付金争奪競争にまきこまれないようにすること。文化財保護、景観・まちづくり、脱炭素・持続可能な地域づくりなど、台東区政の魅力・先進的施策に対し賛同する寄付を積極的に募る方針を貫くこと。

以上