台東区の来年度予算案。区民の苦しみに寄り添わず「金余り」
第一回定例会が始まりました。審議する台東区令和4年度予算案について、ざっと見ての感想です。
来年度予算案は一般会計が1059億円と今年度当初予算とほぼ横ばいです。全事業にわたり休止・縮減を行った今年度予算と比べると、31新規事業に6・5億円配分するなど、わずかですが政策的意図が伝わってくるものになりました。
共産党区議団が区民と要望してきた、プラスチックごみ資源化、医療的ケア児の支援拡充、オンライン授業ICT支援員の予算増額、歳入では公益大企業の道路占用料の改定で2.2億円の増収…などが予算化されたことは評価できます。
しかし、コロナの感染拡大・医療崩壊を防ぐ点でも、コロナ禍で苦境に立つ区民の健康、くらし、営業をまもるという点で極めて不十分です。
コロナだけ見ても、感染症対策として4億円の予算を計上しましたが、検査と保護・健康観察が追いつかず、自宅療養者を大量に出してしまった、これまでのコロナ対策失敗の教訓からすれば、ケタが一つ違うのではないでしょうか。
区民は、高齢・障害者の健康悪化、中小零細事業者の疲弊、子育て・教育の悩みの深化、DV・虐待の増加…など、くらしと命の深刻な危機の中にいます。
こういう時こそ区民を元気づける積極的な施策と予算措置が必要です。PCR検査の飛躍的な拡充、発熱外来・健康観察、介護・福祉事業者・従事者への支援、学校のオンライン授業体制の強化、中小零細事業者と生活困窮者への支援など、思い切った予算をつけて早急に実行すべきです。
台東区の財政は潤沢です。今年度の最終補正予算案は、本予算への繰越金が78億円、基金積み上げが67億円、合計145億円。剰余金と基金蓄積の合計額は区政史上最大です。基金は500億円を大幅に突破し空前の規模に達するでしょう。ところが予算案は今年度72億円だった基金の活用を55億円減額しました。財政調整基金活用額は20億円の減額です。
区は「中長期的な視点に立ち…基金や起債の残高に留意し」、編成した予算案(基本的な考え方)としています。しかし、大変な区民の苦境に寄り添わず、こんな「金余り」財政は、住民福祉を使命とする地方自治体として健全ではないと思います。