性的少数者の尊厳を傷つけた 自民・松村区議は発言を訂正せよ

人権

 自民党の松村智成台東区議は9月20日の一般質問で、LGBTQ当事者の尊厳を傷つけ、差別を助長する発言を行った。趣旨は、LGBT理解増進法が学校設置者に求めている性的指向・性自認等についての教育は行うべきではないというものである。日本共産党台東区議団は抗議し、発言の訂正を求める。

1 松村氏は「ジェンダーギャップという特殊な状況への理解を優先させることに違和感」「日本には3~10%の性的マイノリティがいると言われているが私の周辺から聞いて感じる様子と違う」と発言した。LGBTQの存在そのものの否定につながり、多数者が少数者を切り捨てるものである。

 「偏向した教材や偏った指導があれば同性愛に誘導しかねない」というのは、性自認や性的指向は本人の意志では変えられない、という脳の性分化についての医学的到達点を理解していない。差別や偏見に基づき、差別や偏見を広げる非科学的見解である。

3 「下半身が男性の外形をした人が女性スペース等に侵入することを防ぐ」という発言は、トランスジェンダーの人たちが望んでいないことを望んでいるかのように強調することで恐怖心を植え付け、差別と偏見を助長するものであり、トランスジェンダーが生きていけなくなるような人権の侵害である。

 松村氏は埼玉県教育委員会の小学校高学年用リーフレットを「児童を混乱させる」と批判している。同リーフは「学校において児童生徒の性の多様性への理解を深め、性的指向や性自認で悩みを抱える児童生徒が自分の悩みを相談しやすい環境づくりにつなげることを目的」(県教委)に作成されている。性自認や性的指向に違和感をもち悩む児童生徒、またその悩みを理解し寄り添える児童生徒を育む立場に立ったものである。「混乱させる」のは、子どもの内心の自由、個人として尊重される権利を抑えつける、松村氏のような主張である。

 「学校教育で大事なのは、人はみんな違って当たり前であり、その違いを認め、誰に対してもお互いを思いやる心を育むこと」と氏はいう。性的少数者の存在を「特殊」なものとして差別した松村氏の発言は、この主張と明らかに矛盾する。私たちは、松村氏がPTA会長を歴任するなど子どもに寄り添ってきた活動を知っている。それだけに自らの発言が性的少数者の子どもの尊厳を傷つけたことを認め、発言を訂正することを強く求めるものである。

 会派として今回の松村氏の質問を了承した自民党区議団の責任は免れない。自民党区議団は、性的少数者をおとしめ、差別を助長する松村氏の質問の訂正、撤回を行うよう求めるものである。