LGBT差別発言、問われる「お詫び」の誠実さ

人権

 日本共産党台東区議団が松村区議の発言撤回を求めてきたのは、性自認・同性愛が教育によって誘導される、という非科学的な認識を蔓延させることは、自らの意志では性自認・性的指向を変えることができないLGBTQの子どもを追い込むことになるからです。

 松村氏は「精神的に不安定な思春期に性の多様性を教えられれば同性愛に誘導されかねない」と発言しました。これは「同性愛は誘導されてはならない、いけないもの」という意識があるからです。同性愛者への偏見が根底に流れています。これが蔓延すれば、性自認や性的指向で違和感を持つ子どもは、その悩みを外に発することができなくなります。自己肯定感はおおもとから破壊されるでしょう。

 松村氏は発言で、トランスジェンダー女性が望んでもいない女性用トイレ・浴場への侵入を、あたかも行うかのように不安をあおる主張を発言で引用しました。LGBT差別禁止を骨抜きにし、理解増進法へと後退させた「女性スペースの会」、同議員連盟の主張そのままです。トランスジェンダーを侮辱し、傷つけています。性暴力被害者の割合は、性的少数者の方がはるかに多いという研究結果が数多くあります。

 区議会自民党は12日の幹事長会で、松村区議のお詫びは誰に対するものか、との私の質問に、LGBT当事者はじめ傷つけた人に向けてのもの、と明言しました。しかし発言を許した党としての責任は微塵もありませんでした。

 性的少数者、アイヌや朝鮮民族へのヘイトスピーチを繰り返す自民党・杉田水脈衆議院議員は世論の批判が集中する度に「お詫び」し、このほど自民党本部の役職に就きました。26日に予定されている松村区議の「お詫び」が本物か、本人と自民党の姿勢が問われます。

 

写真上は上野駅前で松村発言に抗議する市民によるスタンディング