区がヤングケアラー調査(上)…「世話する家族あり」13%
台東区はこのほど、昨年行ったヤングケアラー(家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども)についての調査結果を明らかにしました。今後の区政運営にとって大変貴重なデータです。報告書は区のホームページで見られます。その特徴は…。
調査は、小・中学生、高校生年齢相当の子ども10622人にアンケート形式で行い、3699人から回答を得ました。
「世話をしている家族の有無」で「いる」と答えた子どもは13%。小学生11・8%、中学生14・2%、高校生相当年齢11・4%でした。
「世話の相手」は、きょうだい46・3%、母親29・9%、父親19・9%、祖父母(合計)18・1%で、「世話の内容」は、家事32・4%、見守り27・8%、きょうだいの世話や送迎25・9%、買い物や散歩の付き添い22%、話し相手20・5%、着替えや風呂・トイレの介助19・7%と続きます。
頻度は、ほぼ毎日32・8%とトップ、週に1~2日18・7%、週3~5日16・6%。世話する時間は、1~2時間35・3%、2~3時間14・1%、3~4時間10・6%と続き、5時間以上が11・4%います。
「自分一人で世話をしている」と答えた56人の子どもは、「世話の相手」の57・1%が母親ですが、「相談経験なし」は平均が66%に対し71・4%、「相談相手がいない」は平均15・1%に対し27・5%と突出。子ども一人で介護等の悩みを抱え孤立している実態が浮かび上がりました。
「学校生活等への影響」では、「世話をしている」子どもと全体を比較すると、「忘れ物が多い」で36・1%に対し26・8%、「提出物を出すのが遅れる」34・9%と26・3%、「宿題ができていない」22・2%と16・9%、「授業中寝てしまう」19・7%と18・8%。
家族で解決するもの、という考え方が子どもの心を支配していることも特徴的です。世話をしている子どもで過去の相談経験がある、と回答した68人のうちの69・1%が相談相手を家族と回答。相談経験がない子どもに理由を問うと「誰かに相談するほど困っていない」が最も多く78%ですが、「家族以外に相談するような悩みではない」「家族のことは話しにくい」など、家族を理由に社会に相談しない傾向も2割以上見られます。
介護や保育は家族だけでなく社会的な責任ですが、ヤングケアラーには届いていない実態が垣間見られます。自己責任論をてこに社会保障削減をすすめる自民党政治が弱者の生きづらさを増幅させています。
(つづく)