区民の痛みわからぬ台東区予算案。 500億円の基金いまこそ使え!
台東区
台東区は9日、2021年度予算案を発表しました。以下、ざっと見ての私の感想を述べます。
来年度予算案は、くらし・営業・健康・教育などコロナ禍での区民の苦しみ、不安を軽減する内容になっていません。区民の現状への認識が欠如した予算と言わざるを得ません。
一般会計予算は前年度より26億円増・1063億円と当初予算として過去最高額になりましたが、中身は投資的経費25・7億円の増額分がそのまま増えたに過ぎません。
コロナとのたたかいが長期化し、外出自粛による高齢者や障害者の健康悪化、売上激減による商店街・地場産業の疲弊、子育て・教育の悩み深化、女性・児童への虐待急増など、区民の傷みへの対策が見られません。
最も喫緊の課題である感染拡大、医療崩壊を防ぐ面も全く不十分です。高齢・障害福祉従事者、医療・保育・教育関係者への社会的検査を位置付けず、激務の保健所体制も職員3人の増員では強化とはいえません。
事業見直しによる削減は171事業、12・3億円と膨れ上がりました。介護・福祉人材の育成確保、猫不妊去勢手術費、学校図書、外国人日本語学校など、福祉・教育や区民との協働を支えるきめ細かな事業にまでメスを入れています。介護保険料は標準保険料が月額6,140円から6,440円に値上げされます。
一方、AIチャットボットの導入、テレワーク推進、西洋美術館世界遺産登録5周年記念式典など、コロナ禍の中で不要不急の予算も目立ちます。オリパラ経費2億円も大半見直すべきです。
財政の厳しさを理由に公共施設保全計画で予定していた11施設のうち6か所の大規模改修・改築を先送りしています。それなら区民合意のできていない旧坂本小学校解体工事2・5億円の着手も行うべきではありません。
そんな中で、浅草中学校への特別支援学級設置、スクールソーシャルワーカーの増員など、区民の声と日本共産党区議団の提案が実現したことは貴重です。
区はコロナの影響による税収減からの回復に数年かかる。一方でコロナ対策など行政需要が増大し、厳しい財政運営が強いられる、としています。確かに税収減は軽視できません。
しかし、台東区財政には十分な体力があります。
今回提出された最終補正予算(第9回)により、繰越金が40億円、財政調整基金積立金が28億円、減債基金積立金が6・8億円となりました。合計75億円は、基金取り崩しの66億円をはるかに上回っています。コロナ渦中で厳しかった今年度でも実質収支は大幅黒字で、500億円に迫る基金を維持して新年度を迎えられそうです。
予算案では基金を72億円取り崩し、区債を38億円発行します。しかし、区民の苦境にこたえる規模には全く及びません。ケアに手厚い施策拡充、くらし・営業応援、区民との協働推進のために思い切って基金を取り崩し、区民が元気になって、オール台東でコロナ危機を乗り越えることが大事ではないでしょうか。希望ある区政にするため、第一回定例会に全力で臨みます。