LGBT家族のこと 知ってほしい~区議会で陳情が趣旨採択

人権

 「LGBTファミリーの子作り・子育てについての認知・理解向上に向けた支援の推進等を求めることについての陳情」が台東区議会第二回定例会で趣旨採択されました。陳情者の鈴木七生子さんに話をうかがいました。

…陳情が趣旨採択されました。感想をお聞かせください。

鈴木 同性のパートナーも、子どもをつくり育てたいということ、事実婚を含む異性間婚姻の家族に比べてたくさんの社会的障壁があるということについて、区議会で議論していただき、理解ある発言が多かったことはよかったと思いました。

ただ、審議がサクサク進んでしまったため物足りなさも感じました。今後、議員のみなさんと当事者との対話を実現することも趣旨採択になりましたので、さらに理解を深め、広げていってほしいと思います。

…陳情に踏み切った気持ちをお話しください。

鈴木 私は匿名のドナーから精子の提供を受け、同性のパートナーとの間に一昨年、出産しました。万一の際の帝王切開についての同意書ですが、妊婦の意識がはっきりしていない際、同性パートナーが代わって行う資格がありません。

先日、パートナーが救急車で運ばれましたが、病状の説明や緊急措置の承諾について、私に資格がなく、パートナーの父親に緊急に病院に来てもらいました。

もっとも切実なのは、私がパートナーより先に死んだ時、パートナーは子どもに対して何の権利・義務もありません。子どもは「親のない子」になってしまうのです。これは切ないことです。

根本的には、法律の改正が必要なのだと思います。でもまず、私もパートナーも生まれ育った台東区のこの町で、まず認知と理解を広げたい、と思い陳情しました。

…あなたたちの願いにこたえるには、法的な結婚が異性間に限定され、法的な結婚ができないと子どもに対する共同親権を持てない、という現行民法の改正が必要です。共産党は同性婚の実現をめざしています。

鈴木 都の「パートナーシップ宣誓制度」が始まりますが、不十分だと感じています。他区では「パートナーシップ制度」より進んで「ファミリーシップ制度」を導入したところもあります。当事者の意見を行政や議会がよく聞いてすすめたことが実現の力になったと聞いています。ぜひ台東区でも、当事者と区長や議会との対話をすすめてほしいと思います。

私たちの場合、私もパートナーも、両方の親が私たちのカミングアウトを受け入れてくれたため、多くのLGBTファミリーにとっての最初で最も高いハードルがありませんでした。しかし多くの当事者たちは、そのハードルでつまずいてしまいます。ぜひ、社会的な無理解に苦しんでいる当事者から直接、話を聞く機会をつくってほしいと心から願っています。