区、医療的ケア児支援へ、実践的な対応
台東区教育委員会は「区立学校等における医療的ケア児への支援に関する基本方針」をこのほど策定し、この1月から既に通学している児童への支援を始めました。私は法施行以降の区の対応の遅れを指摘し、「看護師配置はすぐにでもできる」と迅速な対応を求めてきました。ようやくですが今回、具体的に支援しながら各施設でガイドラインをつくっていくという実践的な対応は評価できます。
医療的ケア児支援法は2021年6月に成立、9月に施行され、2016年に児童福祉法改正で国と自治体の「努力義務」になった施策実施が「責務」になりました。
喀痰(かくたん)吸引、胃ろう等による経管栄養、導尿などの医療行為が必要な子どもが、保護者の常時付き添いなしでも安心して学校等での生活が送れるよう、台東区は責務を負うことになったのです。
区教委の「基本方針」は、支援実施の対象、実施内容と条件、実施する者、医療的ケア以外の支援、実施体制などを明確にしました。児童・生徒を中心に、学校と教育委員会が看護師の配置と管理、主治医・保護者との連携連絡、教職員の研修など責任を分担。区教委は学校を支援します。
課題は、医療的行為に酸素吸引が明示されていないことです。「主治医の意見をもとにケースごとに実施の可否を教育委員会が判断」ということですが、これでは呼吸器の操作を保護者がつきっきりで行わなければなりません。
台東区には就学前も含め、現在25人の医療的ケア児がいます。今後増える見込みであり、そのためには学校・園のバリアフリーも課題になってきます。公共施設保全計画では今後10年で小学校12校、中学校2校の大規模改修を行うことになっていますが、ここで具体化すべきです。
学校内・校外学習時、通学時の介助では、障害福祉サービスの事業所やケア労働の担い手不足も解決が求められます。
区教委はケースを蓄積しながら前に進める、としています。年明けから始まった貴重な経験を政策に結びつけていくことが重要です。
医療的ケア児を受け入れる学校のバリアフリー化も大事です