くらしに冷たい台東区来年度予算

台東区

 台東区は2月2日、令和6年度予算案を発表しました。一般会計は1232億円と区政史上最大の規模です。区民の声を反映した施策が一部予算化されましたが、介護保険料の値上げ、光熱費高騰で影響を受けている事業者への補助の打ち切りなど、くらしに冷たい予算と言わざるを得ません。

 服部区長は第1回区議会定例会での所信で「前進を実感できる予算」となるように編成した、と述べました。

 わが党区議団が区民のみなさんとともに要求してきた補聴器購入費助成、介護・福祉のケア労働者への住宅支援、高齢者ふれあい入浴券増加、産婦への5万円助成、「ボール投げできる公園に」との声にこたえた小島公園(写真)のスポーツコーナ―整備…などが計上されたことは重要です。能登半島地震の教訓から水・食料・生活必需品の備蓄拡充を緊急に計上。スクールソーシャルワーカーの増員も評価できます。

 ただ、補聴器購入費の助成は、住民税非課税世帯・1人1回限り5万円で、利用者が多い区の制度と比べると極めて不十分です。ふれあい入浴券は20枚を36枚に増やしますが、負担も50円から100円になるなど手放しで喜べません。

 逆に負担増は大変です。介護保険料は基準月額が6440円から6900円に値上げされます。今後、後期高齢者医療保険料と国民健康保険も相当な値上げが提案される見通しです。

 また、物価高騰分として対応してきた公衆浴場、医療機関、介護・福祉事業所、保育園などへの光熱費補助、障害者への自動車燃料費補助の打ち切りは事業者に打撃を与えます。コロナ感染症対応の事業もばっさりです。党区議団には後遺症や重症化リスクのある人からの相談が未だに届いています。

 区は「予算の基本的考え方」で、基金や起債の積極的に活用した、としています。確かに財政調整基金や減債基金などが大幅に増えています。

 しかし、区財政は一般会計の実質単年度収支が10年連続黒字です。これは黒字額が毎年連続して伸びている状態であることを示しています。今年度の最終補正予算案では基金を48億円積み増し、年度末の基金残高は607億円の見通しです。現在負担している区民に税金がふさわしく還元されていません。

 今予算案程度の基金活用や区債発行の規模は決して大きくはありません。むしろもっと活用し、くらしの痛みを和らげるなど区民を元気にすべきです。それでこそ「前進を実感できる予算」ではないでしょうか。

 日本共産党区議団は予算修正案を提出する予定です。