区立幼稚園の今後、区が方針。パブコメに意見を!

子ども・子育て・保育

台東区教育委員会は「区立幼稚園の今後の対応・中間のまとめ」についてのパブリックコメントを4月26日~5月16日、実施しています。「園児数の減少は集団教育の質の低下につながる」として、2年連続で学級編制できない園は閉園検討という重い方針です。区のホームページ(https://www.city.taito.lg.jp/kosodatekyouiku/kyoiku/kyoikuiinkai/oshirase/yochien_public.html)をご覧いただき、積極的に意見をあげていきましょう。

 

区立幼稚園の園児数は現在の10園体制になって以降、2016年度の713人をピークに大きく減少し、今年度当初の4月1日は354人と半分になっています。(下表)

就学前人口の減少と長時間保育へのニーズの高まりが要因です。

区はこのままでは幼児教育に影響が出る、と庁内検討会を設置し、今後の対応方針についての協議をスタート。幼児教育の専門家や区立幼稚園現場からの意見を聴取するとともに、預かり保育・給食に関するアンケートを行い、「区立幼稚園の今後の対応・中間のまとめ」を作成し、4月25日の区議会委員会で了承されました。

 「中間のまとめ」は、①質の高い幼児教育の提供②学級編制基準の見直し③地域における子育て支援活動の充実④配慮を要する子どもや医療的ケア児等の受入れ体制の充実⑤預かり保育(定期利用)の全園実施⑥弁当給食の本格実施を今後の方針の柱に据えています。

 配慮を要する子どもへの対応や、預かり保育、給食の実施は前向きな動きであり評価できます。ここ3年、園児数が減少から横ばいに転じたのも、預かり保育や給食へのニーズを汲み上げたからと言えるでしょう。

一方、学級編制基準の見直し方針は、3歳児が「募集時点で9名以下」、または「2年連続4月時点で9名以下」の場合は翌年度の学級編制は行わない。2年連続で学級編制できない場合は閉園を検討する…というものです。現在「募集時点で7人以上」という基準からさらに厳しい内容になっています。

区は専門家や幼稚園現場から、教育上、10人程度の集団が幼児教育の質のために必要、という識見が出されていることを根拠にしています。確かに集団教育には一定の規模が必要であることは理解できます。しかしそれが機械的に10人なのでしょうか。この4月1日現在、3歳児クラスが9人以下の園が3園あります。本方針実施になれば数年のうちに数園が閉園になる可能性があります。

一方、昨年区が行った「次世代育成支援に関するニーズ調査」では、「平日どのような教育・保育の事業を利用したいですか」との質問に、認可保育所60・9%に続き幼稚園が48・5%と根強いニーズが示されました。「中間のまとめ」もこのことを認めています。

また、区立幼稚園保護者アンケートでは「入園先を選択した理由」のトップは「自宅が近い」27.7%、「幼稚園教育を受けさせたい」23%、「併設小学校と連携した活動がある」18・2%となっています。区立幼稚園の魅力は、小学校と地域との連携、幼児教育へのニーズの強さにあることは明白です。

昨年4月の区の保育認定総数は3745人、うち保護者がフルタイム勤務の標準認定児童が3301人(88・1%)、短時間認定が444人(11・8%)。就学前児童の保育は、圧倒的に長時間保育ニーズです。そんな中で区立幼稚園の存在意義は、小学校学区域ごとの保育・教育ニーズを把握し隣接学区域も含め地域ごとに対応し、認可保育園、認定こども園とは違う役割を果たす中でこそ輝くのではないでしょうか。