区は、PCR検査の拡大、保護・追跡の抜本的な拡充を。第6次要望(全文)。
台東区長 服部征夫様
新型コロナウイルスの急速な感染拡大から
区民の命とくらしを守り抜くことについての要望
2020年12月17日
日本共産党台東地区委員会
日本共産党台東区議団
新型コロナウイルス対策での日ごろからの努力に敬意を表します。
感染「第3波」の急拡大は一部地域で医療崩壊に近い状況を招いています。東京都も救える命を救えない危機を迎えかねない情勢ではないでしょうか。
ところが菅首相は「マスク会食」、小池都知事は「5つの小」と、専ら国民に自助努力を促すばかりで、GOTO事業への固執など、感染拡大防止や医療崩壊阻止に対する無為無策・無責任ぶりは目に余ります。
台東区でも感染者が増え続いており、小中学校、保育園、特養ホームなどでも陽性者が次々に出ています。また、区内中小商店は「年内で店を閉める」「後継者に事業を承継するのを断念した」、派遣や有期雇用の労働者の雇止め、解雇などが年の瀬に来て増えているというのが実感です。
日本共産党台東地区委員会・同区議団は1月末から現在までに区長に5回、教育長に1回要望書を提出。台東区は、検体採取センターの設置、発熱外来の支援、そしてこのほど介護・福祉施設への社会的検査の開始など、私たちの提案の方向で実施してきました。これらについては評価いたします。
そのうえで台東区がただちに、財政調整基金の思い切った活用等により、区民の命とくらしを守るため、以下の対策を講じることを求めます。
Ⅰ.危機管理・情報公開について
- 11月以降急増する区民の感染状況について、関係者・諸機関から積極的にデータを収集し、専門家も含めた科学的な知見に基づき、感染拡大を防ぐための検査・保護・追跡の戦略をもつこと。そしてそれを区民に発信すること。
- 区内の感染状況を区民が理解し、区民一人ひとりが冷静な判断と適切な行動ができるよう、情報公開に関する基本的な方針を策定すること。
- 区が現在毎週行っているホームページでの情報は、都から送られる区民の感染者数、区の検体採取センターの検査数、保健所相談センターの相談数です。かかりつけ医から民間検査機関に回った検査数、かかりつけ医への相談数が反映されていません。区の情報と実態との乖離が日を追って広がっており、間違った認識を区民に与えます。かかりつけ医経由の相談・検査数も入手し公開すること。
- 区内の民営特養での感染について、施設も区も公表しませんでした。区立同様、区が利用調整をしている施設での感染について公表しないのは区民に不信を与えるだけです。今後、医療、介護、福祉施設など、区民福祉に関係する施設での陽性者発生については、情報を公開すること。
- 保健所の体制を抜本的に強化すること。特に、感染を追跡・調査する担当者を大幅に増員すること。
- 新型コロナウイルス感染者または感染の可能性がある者を受け入れる等の業務に携わる区職員については、保健所職員にとどまらず、福祉事務所、清掃事務所、戸籍住民サービス課、窓口業務等の職員などに対し特殊勤務手当を拡充・増額すること。
- 区職員、派遣・委託職員など公務労働者の検温、マスクの支給、消毒液の配備、頻繁な換気など、職場環境の整備を徹底すること。また、保健所、福祉事務所、中小企業振興センターなど、区民の相談等に丁寧に対応できるよう全庁的な人的支援を行うこと。
Ⅱ.戦略的なPCR検査をすすめることについて
- 診療検査医療機関(発熱外来)への支援をさらに増額すること。動線確保のための工事費などを支援すること。
- 介護・福祉施設へのPCR検査の開始に続き、居宅介護・訪問介護事業所、医療機関など、クラスターになったら重症者を生み出しかねない事業所、保育園・幼稚園、小中学校など、集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR検査を行うこと。
- 「濃厚接触者」を政府等の狭いカテゴリーにとどめず、広くPCR検査の対象にすること。
- 希望する台東区民・在勤在学者すべてにPCR検査ができるよう、あらゆる手段を講じること。そのために検体採取の協力医療機関を増やすこと。台東保健所の検査センターでもPCR検査できる体制を整えること。
Ⅲ.医療・介護体制の強化について
① コロナで利用者が大幅に減少した医療機関・診療所や訪問看護ステーションについては、融資だけでなく補助も行うこと。そのための支援を国に求めること。
② 感染症防止に係る医材、サージカルマスク、フェイスシールド、手袋、防護服、消毒液を大量に購入し、医療機関・介護事業所・保育園や学校等にいつでも供給できるよう備蓄しておくこと。
- 介護・福祉法人への50万円の支援金は、第一波で経営難になっている事業所を励まし喜ばれました。現在第三波で、利用者の減少により経営が厳しくなっています。再度、支援を行うこと。
- 感染者を保護・療養する施設を確保し、家族が同室で療養できる部屋の確保も併せて行い、自宅療養者を最大限抑制すること。やむを得ず自宅待機せざるを得ないケースは、感染者および家族に対する食事や買い物などの支援体制を確立すること。
⑤ 永寿総合病院への支援について
ⅰ.永寿総合病院支援協議会の内容を詳細に区民に報告すること。特に厚労省クラスター班の総括文書は早急に入手し区民に公開すること。
ⅱ.経営が軌道に乗るよう、国や都に財政支援をより強く求めること。
ⅲ.区として必要な財政的支援を行うこと。その前提として、永寿病院メガクラスターの区独自の検証・総括を行い、区民に根拠ある説明ができるようにすること。
Ⅳ.区民の健康と人権を守り抜くために
- 地域行事の中止、長引く外出自粛傾向やテレビ等での感染情報の氾濫などにより、高齢者の心身の健康が損なわれています。室内でも簡単にできる体操や脳トレの方法を普及すること。地域包括支援センターが高齢者への電話での対話を積極的に働きかけること。
- 介護施設などの入所者は家族や友達と長期にわたり面会できず、外出もできないため、ADL・QOLが低下せざるを得ません。施設が工夫して面会やリハビリが行えるよう支援すること。
- 障害者が外で活動することが制限され、心身の健康が脅かされています。以下の支援を行うこと。
ⅰ.外出が可能になるよう感染防止マニュアルをつくり、さらに移動支援が使えるにすること。
ⅱ.施設入所の障害者は散歩や短期帰宅が禁止になり、ストレスをため、健康を損なうくらしを余儀なくされています。施設が工夫をして散歩や一時帰宅できるような対策を支援すること。
- 児童扶養手当受給者には5万円の給付を区独自で行うこと。
- 奨学金の対象を大学・短大・専門学校にも広げること。コロナによりアルバイトがなくなり学費支払いに窮している学生にも奨学金を支給すること。すべての大学生、専門学校生に一律で授業料半額程度の免除や支払い猶予の措置をとるよう国に求めること。
- 親や保護者が感染した場合の子どもの居場所を確保し、健康で安全なくらしを保障すること。
- 感染が怖くて子ども家庭支援センターのあそびひろばに来られない保護者に寄り添う声掛けや発信をさらに工夫して行うこと。
- 里帰り出産ができなくなった妊婦について、近隣の病院等で受け入れられるようにすること。費用負担は助産施設と同水準にするよう補助を行うこと。
- 外出規制の指導が強まる中で、DVや性暴力等が拡大し、自殺者が増えています。区が行っている各種女性相談を広く知らせ、当事者に寄り添い早急に対応する人員体制を強化すること。人権・福祉が縦割りでなく連携して対応すること。
Ⅳ.区民のくらしと営業を守りぬくために
- 新型コロナウイルスでの緊急生活相談窓口をつくり、ワンストップで相談を受け付け、解決の方策に結び付けること。
- 年末年始も福祉事務所窓口を臨時で開き、生活保護など生活困窮者の相談に対応すること。
- 税や保険料の減免や支払い猶予制度を周知徹底すること。
- 区独自の特別定額給付金制度をつくること。
- 前年売上が5割を切らないため持続化給付金が給付されない事業者、飲食店の時短で直接打撃を受ける酒屋や氷屋など、国や都の給付金や協力金が要件を満たさないため支給されない中小事業者には、区が独自の支援金を給付すること。
- 国民健康保険の傷病手当については、被用者だけでなく自営業者やフリーランスも給付対象にすること。
- 社会福祉協議会の緊急小口資金と総合支援資金は12月1日から同時申請が可能になりました。積極的に周知するとともに速やかに審査し実行すること。
- 住宅確保給付金の実行までの時間がかかり過ぎている実態はあまり改善されていません。審査期間を大幅に短縮すること。
- 区の新型コロナウイルス感染症対策の融資は、上限を拡大し、制度の期間を延長すること。
- 中小零細事業者の家賃支援を区としても行うこと。
- 雇用調整助成金の申請は複雑で、零細事業者には負担がかかっています。区として社会保険労務士会と連携し、きめ細やかな相談と指導をおこなうこと。社会保険労務士に依頼する際の補助を行うこと。
- 長期化しているコロナの影響を区内事業者がどれほど受けているか、区長自らが各種団体から直接状況を聞き取る場を早急に設けること。また、現状を把握したうえで、区独自の事業者支援策を打ち出すこと。
- インバウンド頼りの観光・商工政策ではなく、マイクロツーリズムの視点に立った振興策を打ち出すこと。とりわけ区民が台東区の魅力を再認識できる事業を展開し、地域経済を活性化させること。
Ⅴ.子どもの教育のために
- 学校や教育・保育施設が、子どもたちの変化や心身の状況を十分観察し、ケアできるよう、担任、養護教諭を補佐する補助人員の配置、スクールカウンセラーの拡充を行うこと。また、環境の変化に弱い発達障害児に寄り添う特別支援教育支援員を増員すること。
- 学習の遅れを取り戻すため授業が過密になり、子どもたちのストレスが増しています。カリキュラムを見直すなど余裕のある進め方を工夫すること。
- コロナ感染の不安から持病等の理由で学校に行けない児童・生徒への学習支援について。
ⅰ.定期的に実態・状況を把握すること。
ⅱ.学習が遅れないよう一人ひとりに寄り添った自宅での学習支援を行うこと。学習課題の点検や担任とのコミュニケーションを定期的に行うこと。自宅学習が不安な児童・生徒には特別の体制をとって支援すること。
ⅲ.オンラインの同時授業を実施すること。フリースクール利用への財政支援を行うこと。
- 学校の消毒作業による教員の過重労働をなくすため、消毒作業専門の労働力を確保すること。
- 20人程度の少人数学級編成にし、感染予防とともに、教員がゆとりをもち、児童生徒一人ひとりに目が行き届く教育をめざすこと。
- 保育園、こどもクラブで感染者が出て休園等を余儀なくされた場合、仕事を休めない保護者には、感染症対策をとったうえでの保育の場を提供すること。
以上