台東区に「子どもの五輪観戦への動員は中止を」申し入れ

学校教育

台東区長 服部征夫様

台東区教育長 矢下薫様

 

五輪に子どもたちを動員する

学校連携観戦の中止を求める申し入れ

 2021年6月29日 日本共産党台東区議団

 

東京2020大会を、区立幼稚園、小中学校の児童・生徒が観に行く「学校連携観戦」の是非が大きな問題になっています。昨日までに特別区4区を含む都内14自治体が中止を決断しています。新型コロナウイルス感染症は再拡大の状況であり、特に変異株・デルタ株の急速な拡大は子どもにも脅威です。

都の計画では、この事業は五輪延期前の2020年2月時点で、公立学校81万人、私立学校9万人とされ、台東区立の教育機関では9,715人となっています。都教育委員会はこれまで、区市町村や学校に、五輪延期決定後の参加やキャンセルの意向を確認せず、緊急事態宣言中に教員を集めた実地踏査を行うなど、コロナ前の計画のまま、事業を推し進めてきました。
 一方、組織委員会は5月に、東京都、関係自治体、東日本大震災被災3県の学校連携観戦チケット担当者あてに、6月23日までに最終的な参加人数を検討してほしいと案内していることが明らかになりました。さらに報道によれば、組織委員会は1月にもキャンセルを受け付けたとされています。 
 都教委は、組織委員会の案内は他県向けのもので、東京都には参考送付されたに過ぎないと説明し、案内文書の公開も拒否しています。しかし日本共産党が独自に入手した案内文書によれば、宛名の筆頭が東京都であり、他県は「関係自治体」と表現されています。都教委の説明は到底、成り立ちません。台東区教委も文書の開示を求めましたが都は「不開示」と回答しました。台東区の子どもの健康と命に係わる公的な情報を隠蔽するのは許せません。

 子どもたちを公共交通機関で遠出をさせ、全国から観戦者が集まり3密が避けられない競技会場に連れて行くことは、感染リスクが増し、安全に観戦できるはずがないと、保護者や教員をはじめ多くの都民は、懸念しています。感染拡大防止のために部活動や修学旅行、校外学習などを制限しながら、五輪だけは特別扱いで、子どもたちを感染リスクにさらすことは、矛盾しています。
 都教委が5月に作成するとしていた「観戦の手引き」も未だ完成せず、感染防止を図りながらの引率の負担増や、マスク着用による熱中症のリスクの増加も考慮されていません。感染防止の責任の所在も不明確なまま、結局は校長に押し付けられている状況です。 

 さらに五輪開会まであと1カ月にせまっているにもかかわらず、都教委は、各学校がいつどこで、どの競技を観戦するのかを非公表とし、保護者にすら知らせていない学校もあります。盲目的に「動員」に従わせるもので納得できないとの声が上がっています。
 東京都や都教委の五輪「開催ありき」の対応に、台東区の学校や子どもたちを巻き込み、危険にさらすべきではありません。
 よって日本共産党台東区議団は、以下申し入れます。

 

  1. 台東区として学校連携観戦を中止すること。東京都および都教育委員会に対して中止することを求めること。
  2. 学校連携観戦が子どもにどんな影響をおよぼすのか、区としてリスク評価を行うこと。
  3. 各学校の子どもたちが、いつどこでどの競技を観戦する予定なのか、現在の計画を直ちに区民や保護者に公開すること。
  4. 観戦に参加しない子どもの出欠について、学校任せにせず、教育委員会の責任において統一的な対応をとること。
  5. 今夏の東京オリパラ大会の中止を直ちに決断し、都の組織力、財政力、知恵を新型コロナ対策に集中させるよう都に求めること。とくに、教室の密を抜本的に解決する30人学級の実施、オンライン事業の具体的展開など、コロナ感染の不安の中でどの子にも教育を受ける権利を保障すること。

以 上