訪問介護の報酬切り下げ 影響認めながら調査せぬ区長
日本共産党の伊藤のぶ子区議会議員は3日、第4回定例会の一般質問に立ち、訪問介護所への支援について、服部征夫区長の姿勢を質しました。
伊藤区議は、介護報酬が今年度引き下げられた訪問介護事業。倒産が急増しています。伊藤のぶ子区議は、区内のヘルパー10人・利用者60人・月収330万円程度の小規模な訪問介護事業所が1月8~10万円の減収になっており、一時金を払うのに苦労しているリアルな実態を告発。区長に影響と実態調査を求めました。
これに対し服部区長は「多くの訪問介護事業所で厳しい職員体制の中、サービス提供回数を増やさざるを得ない」影響が出ていることを認めました。しかし、3年に1度、計画改定時に実態調査を行っている、として現在訪問介護事業所を襲っている影響については検証しない、という姿勢でした。
台東区はこの間、政府による介護報酬の引き下げの度に、処遇改善加算があるので事業所や労働者の処遇は低下しない、という姿勢を繰り返してきました。
伊藤区議は、処遇改善の事務負担の大きさ、加算により介護利用者の負担増につながることを指摘。「処遇改善加算は根本的な解決にならない。介護保険の枠内ではなく、区が直接事業所やヘルパーへの支援を行うべきだ」と区長に迫りました。
しかし区長は、研修受講費用や採用活動経費、物価高騰対策として燃料費などを助成してきた。都の物価高騰緊急対策事業に組み合わせる形で支援する補正予算を今定例会に提出したとし、「こうした支援策が区内で、事業所の努力により経営を維持している」との認識を示しました。
伊藤区議がこの質問のための事業所やヘルパーへの聴き取りでは、すでに区内で2つの事業所が廃業、撤退を考えているとの実態があります。全国ではヘルパー事業所が皆無になった自治体が次々に出現しています。
訪問介護は、在宅介護、地域包括ケアの最前線で高齢者の肉体的精神的な健康を支えている専門性の高い仕事です。この分野で進んでいる苦境を早めにつかみ、きめ細かな対策を講じるべきです。