カスハラポスター 誤解生まない?
台東区
4月末、台東区役所内に政府作成の「ストップ! カスタマーハラスメント」というポスターが掲示されました。
カスタマーハラスメントとは、顧客がサービスを提供する従業員に対し、理不尽なクレーム、居丈高な態度、過度な要求を行うことです。この間大きな社会問題として浮上し、国は企業向けの指針、東京都は条例をつくりました。台東区もこのほど基本方針を策定し、防止に乗り出しました。今回のポスターはその矢先です。
カスタマーハラスメントは人権侵害です。鬱(うつ)や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもあります。絶対に許せません。なくすために手だてを講じるのは当然のことです。
ただ、消費者の正当な権利を侵害してはならないことも重要です。都の消費生活条例でも、危害の防止、表示など事業行為の適正化など苦情を迅速かつ適切に処理することを事業者の責務と定めています。
カスタマーハラスメントは、区職員と区民の間でも生じます。庁舎内で区民が職員に対し、暴力的・脅迫的な言動を時々目にします。職員の人権を傷つける行為は阻止しなければなりません。
しかし、憲法に保障された権利を否定することを行政が行った時、主権者である国民・区民が強く抗議や意思表示を行うことはあり得ることです。
今回のポスターは、区民に「役所の窓口では静かにせよ」ととられる危険がある内容です。民間の物品やサービス提供の店舗などではなく、区民福祉を責務とする区役所に貼ることは不適切ではないでしょうか。