金余り、職員不足を認めぬ区。決算総括でただす。
10月21日、決算特別委員会総括質問での行財政運営についてのやりとりを報告します。
私は「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本とする」という、地方自治法第1条が規定した自治体の責務を、台東区が果たしたのかどうかが、決算を評価する重要な視点だ…と切り出しました。
区財政が10年以上毎年黒字を増やし続けていること、ここ数年歳入一般財源の1割以上を余らせていることが決算審議で明らかになりました。一般会計の基金は600億円の大台に乗りました。
一方で、今年度、区は国民健康保険料、後期高齢医療保険料、介護保険料すべての保険料を大幅に引き上げました。
私は「物価上昇で区民のくらしの困難がすすむ中、こんな負担を強制し、金余りを続ける区の財政運営は健全ではない。自治法上問題ではないか」と質問しました。
理事者は、決算年度のくらし支援の施策を挙げたうえで「将来にわたって区民福祉の増進に努めることも区の責務だ。中長期的視点に立ち、安定的に財源配分できる安定的な財政運営をめざしていく」と答弁しました。
これに対し私は「安定的な一定の財政体力とは、どこまでのことをいうのか」とあきま区議は再質問。理事者は「具体的な目標は設定していない」と答えました。これでは際限がありません。区は、目標のない財政運営をこのまますすめていくのでしょうか。
行政運営は多くの問題をはらんでいます。あきま区議は決算集中質疑で、急速に膨らむコンサルタント委託が政策立案という区の最も重要な役割を後退させる危険について警鐘を鳴らしました。
私は「人員・人材不足をコンサル委託で補うと、職員の政策立案能力自体が低下し、コンサルを使いこなせる力量の職員が育たない、という悪循環になるのではないか。根源にある人員不足を解消すべきだ」と強調。「現在の職員体制が区民福祉を支える十分なものだと認識しているのか」と質しました。
理事者は、業務内容や事業量を勘案し、平成28年度から毎年30人ほど増員してきた。育休取得、複雑化する行政課題に対応できる人材育成に努めている。引き続き区民福祉の向上が図れるよう人材を確保していく、との答弁にとどまり、職員不足を認めませんでした。
区の「職員の定数に関する条例」は区長部局2,154人、幼稚園教諭112人、合計2,266人を定数と定めています。現在の1,974人に対し292人不足しています。条例の意味はなんなのでしょうか。
集中質疑で理事者は、人員獲得の努力の根拠に、昨年は池波正太郎生誕百年、今年はNHK大河ドラマなどの対応を挙げました。あまりにも目先ばかりの増員です。区民の健康やくらし・福祉、安全を大本で支える長期的視野に立った骨太の人事政策が必要です。